(2)確実度・変位の向きの表示

活断層の認定に必要な基準地形面がリニアメント両側に分布していない場合、活断層の認定も不確かなものとなる。しかし、不確かなものであるからと言って活断層から除外することは危険である。そこで不確かさを確実度として表現している。活断層研究会編(1991)によれば、確実度はT、U、Vの3段階に区分され、確実度Tは、活断層であることが確実なもの、確実度Uは、活断層であると推定されるもの、確実度Vは、活断層の可能性があるが、他の原因も考えられるものとしている。

本報告書では以下のようなA〜Dのランクに区分した。これらの内A〜Cランクは先の確実度T〜Vにそれぞれ対応する。

A〜Dランクの実際の判読については、次のような特徴で分類した。

●Aランク:(活断層とほぼ確実に認められるリニアメント)

・リニアメントを横切る尾根や谷が数本以上系統的に屈曲し、横ずれの方向や量が分かる場合。

・同じ時代に生じた一連と思われる斜面や平坦面が逆むき低断層崖や低断層崖で切断されている場合。

・同一と判断される地形面が著しくたわみ、撓曲やふくらみを伴っている場合。

・第四紀層を変位させている断層や撓曲の露頭が現に野外で見られる場合。

●Bランク:(活断層と推定されるリニアメント)

変位の向きは推定できるが、Aランクと判定できる地形・地質的証拠がない場合。

・2〜3本程度以下の谷や尾根が屈曲しているが、横ずれによるものか、偶然的な現象か断定できない場合。

・断層崖のような地形はあるが、両側の地形(面)の形成年代が異なるので、活断層とは認定できない場合。

・断層崖にような地形はあるが、山地や丘陵の内部などのように、明瞭な基準になる地形(面)がない場合。

●Cランク:(活断層の可能性もあるリニアメント)

これは変位の向きが不明であったり、他の原因も考えられるようなリニアメントである。とくに、断層(破砕帯)に沿う河川や海などの侵食作用による断層組織地形の可能性が充分に考えられるが、確実な証拠となる地形が全くないので、断層の存在はほぼ確実であるが、判定が困難なリニアメントである。

●Dランク:(活断層の可能性の少ないリニアメント)

周辺の地層に斜交するリニアメントであったり、異種岩石(地層)の境界線や地質図の断層線にほぼ一致するリニアメントであるが、断層変位地形は全く認められず、地形高度や地形面にほとんど不連続のない場合である。これらは断層組織地形と予想される。