6−2 光明寺断層

付図6−4−1付図6−4−2参照)

光明寺断層についての調査結果及び考察されること以下に記し,表6−1図6−2にまとめる.

@光明寺断層は京都市西京区沓掛町の京都市芸大付近から大原野灰方町を経て,長岡京市久貝付近まで,約8.0kmにわたり南北〜北西−南東に延びるリニアメントとして認められた。大原野灰方町で折れ曲がって「く」の字を呈する。

大原野上羽町付近では低位段丘面上に約2m東下がりの撓みが認められた。

大原野灰方町から長岡京市長法寺付近では,丘陵地内の河谷の屈曲,山地と丘陵地の境界,丘陵地と平地の境界等のリニアメントに沿って,大阪層群と基盤の中・古生層の接する断層,大阪層群中の断層や急傾斜帯が存在することから,当リニアメント沿いに活断層が存在することは確実である。

A大原野灰方測線では,P波反射法探査結果から,2ヶ所で基盤の中・古生層上面に不連続が認められた。東側の不連続箇所は灰方町と上羽町の町境付近の低位段丘面上に見られる撓曲崖とほぼ一致し,基盤の垂直変位量は推定約50mであった。地表面の撓曲が活断層により形成された新しい地形であることを裏付けるものとなった。

西側の不連続箇所は大阪層群を直立させるほどの変形を生じさせた光明寺断層との交差部付近にほぼ一致し,基盤に約25mの垂直変位を与えていることが分かった。

上記の2ヶ所の間で,西側の基盤の不連続箇所から約100m東側に大阪層群相当の地層内に湾曲した反射面が検出されたが,これは大原野灰方南部の丘陵地内で観察された大阪層群傾斜帯の東縁部の延長上に位置している。従って,大原野地区では沖積低地下に活断層が伏在することがわかった。

B光明寺断層の活動度を次のように算定してみた。

上羽町付近で認められた低位段丘面上の比高約2mの撓曲崖が,低位段丘面の形成時期約20,000年前(植村,1990)以降の断層活動によるものとすると,2m/20,000年=0.1m/1,000年で,活動度はB級となる。

基盤上面を変位基準とした場合,大阪層群堆積前から現在までの約100万年で約50mの垂直変位とすると,50m/1,000,000年=0.05m/1,000年となり,活動度はC級となる。上記の地形面による平均変位速度と比較すると一桁小さい値となる。これは,大阪層群の堆積開始時期から現在の間で,比較的新しい時期に大きな変位量を生じた断層活動があった(あるいは小さい変位量ながら回数が増えた)と考えることができる。