5−3−6 まとめ

本トレンチにおいては活断層及び活構造は確認されなかった。

第1トレンチで見られた地層は,新しい時代の堆積物(400年前以降)のみであった。

第2トレンチでは炭素年代からB及びC層が12,000年前程度に堆積したと推定されたが,花粉分析からB層がより古い(約2.5万年前〜3万年前頃)堆積物である可能性が示された。しかし花粉化石の状態か悪く,断定はできない。

B層のGT−6試料は炭素年代試料と花粉分析試料が同一地点で採取しており,炭素年代より古い花粉群集は考えられない。花粉分析で考察しているように10,000〜7,700年前のLepidobalanus(コナラ亜属)時代の花粉化石群集に対比することが無難である。しかしこれも断定できず,花粉分析からは時代を推定することは難しい。

最下部のA層に緩い北上がりの傾斜が見られ,その上位のB層には傾斜が見られず,水平な構造が観察されることからA層とB層との間にイベントが推定される。ただし,A層中の構造は断層の走向と同じ方向であるため堆積構造による可能性は否定できない。

◎ 本章で参考にした文献

古谷正和(1979)大阪周辺地域におけるウルム氷期以降の森林植生変遷.第四紀研究,18―3,p121−141.

Furutani,M.(1989)Stratigraphical Subdivision and Pollen Zonation of theMiddle and Upper Pleistocene in the Coastal Area of Osaka Bay,Japan.

Journal ofGeosciences, Osaka City University, 32,4,p.91−121.

深泥池団体研究グループ(1976)深泥池の研究(l):(2).地球科学,30−1,p.15−38.:30−2,p.122−140.

高原光(1993)滋賀県山門湿原周辺における最終氷期以降の森林変遷.日本花粉学会会誌39,1,p.1一10.