(2)分析結果

9試料について分析を行った。No.1ボーリングで5試料,No.2ボーリングで2試料,No.4ボーリングで2試料分析を行った。

花粉分析の結果を表4−6に示す。解析を行うために計数の結果にもとづいて,花粉化石群集図を作成した(図4−6)。出現率は,木本花粉(Arboreal pollen)は木本花粉の合計個体数を,草本花粉(Nonarboreal pollen)とシダ類・セン類胞子(Pteridophyta&Moss spores)は花粉・胞子の合計個体数をそれぞれ基数とした百分率である。図表において複数の種類をハイフォン(−)で結んだものは,その間の区別が明確でないものである。

以下に各試料ごとに記述する。なお,ボーリング試料は,試料採取深度の上限で記述する。

1)No.1ボーリング

・深度1.3mと9.1m試料

花粉化石を産出しない。

・深度10.1m試料

木本花粉ではトチノキ属が優占し,スギ属,モミ属を伴う。コウヤマキ属,マツ属(単維管束亜属と複維管束亜属),ブナ属,コナラ亜属,コナラ属アカガシ亜属(以後,アカガシ亜属と記す),ニレ属−ケヤキ属,シイノキ属なども産出する。草本花粉は非常に少なく,シダ類胞子では他のシダ類胞子として−括した胞子が多産する。

・深度10.5m試料

木本花粉ではモミ属が多産し,スギ属を伴う。コウヤマキ属,マツ属,コナラ亜属,アカガシ亜属,ニレ属−ケヤキ属,シイノキ属,トチノキ属なども産出する。草本花粉は非常に少なく,シダ類胞子では他のシダ類胞子として−括した胞子が多産する。

・深度11.1m試料

木本花粉ではアカガシ亜属が優占し,モミ属,スギ属,コウヤマキ属,ニレ属−ケヤキ属,トチノキ属などを伴う。草本花粉とシダ類胞子は非常に少ない。

2)No.2ボーリング

・深度9.7m試料

木本花粉ではスギ属,コウヤマキ属,モミ属,ブナ属,マツ属,コナラ亜属,アカガシ亜属,ニレ属−ケヤキ属,シイノキ属,トチノキ属など,多くのTaxa(種類)が良好に産出する。草本花粉は非常に少なく,シダ類胞子では他のシダ類胞子として−括した胞子が多産する。

・深度10.6m試料

木本花粉ではアカガシ亜属が優占し,モミ属,スギ属,ニレ属−ケヤキ属,トチノキ属などを伴う。草本花粉とシダ類胞子は非常に少ない。

3)No.4ボーリング

・深度13.4m試料

木本花粉ではマツ属複維管束亜属(いわゆるニヨウマツ類)が優占し,ブナ属,アカガシ亜属を伴い,トウヒ属,クルミ属,コナラ亜属,ニレ属−ケヤキ属,トチノキ属など低率で産出する。草本花粉は非常に少なく,シダ類胞子では他のシダ類胞子として−括した胞子の産出が多い。

・深度14.7m試料

木本花粉ではスギ属が優占し,モミ属,ツガ属,アカガシ亜属,ハンノキ属などを伴い,サルスベリ属を低率で産出する。草本花粉とシダ類胞子は少ない。