(3)マルチチャンネル方式の測定

図3−9参照)

受振器の導通チェック,震源のトリガ−チェック,探査器のシステムチェックなどが完了した後,測線の端から測定作業を開始した。

探査器のオペレ−タからの指示にしたがって震源を作動させ,発振作業を行った。震源から発生した波動は地盤中を四方八方に伝播して行くが,そのうち固さの異なる地層の境界面などで反射して地表に戻ってきたものが,地表に配列した受振器群で反射波として測定される。

測定は発振点の前方に配置した受振器群のうち,同時受振チャンネル数(松尾測線120ch,樫原・灰方測線90ch)分の受振器で行った。受振器で感知した反射波などの振動デ−タを電圧信号に変換し,ケ−ブルを介して観測車の探査器に転送する。そこで増幅,フィルタリング,デジタイズした後,探査器システムの磁気テープに収録した。同時に,記録紙にも出力し,デ−タの良否をモニタ−した。

非爆薬震源の1回の発振によって発生するP波のエネルギーは,爆薬震源にくらべてあまり大きくはないので,同一発振点において最大10回程度の発振を行い,そのつど同じ受振点群で測定されたデ−タを重ね合わせて,S/N比の向上をはかった。この操作を垂直重合(スタッキング)という。

1発振点での発振・測定作業が終了したならば,震源および同時受振するための受振器群を全体に一定の距離(松尾測線では5m,樫原測線,灰方測線では10m)ずらしては,測線終点まで同じ作業を繰り返し,測定を終了した。