(1)震源

1)バイブレータ震源(図3−6参照)

バイブレータ震源は,重水落下式震源のようなパルス型震源とは異なり,発生させる振動の周波数を連続的に変化させることができる震源である。このとき発生する振動をスイープ波と呼ぶ。バイブレータ装置はトラックの後部に搭載されている。発振時にはベースプレートを降下させて地面に密着させ,さらにトラック重量をかけて地面とベースプレートのカップリング効果を上げた。

現地で直接測定される振動波形は複雑な様相を示すが,基準信号(スイープ波)と測定波の相互創刊をとることによってパルス型震源を使用して得られるデータと同等のデータを得ることができる。

バイブレータ震源の利点は,パルス型震源と比較してノイズに強いことと,繰り返し発振を行っても接地面にほとんど損傷を与えない点にある。また,騒音も加速型重錘落下式震源に比べて小さい。

2)加速型重錘落下式震源(EWG−2)(図3−7参照)

これは全重量が1,137kg,重錘重量が273kgのP波用震源である。油圧で重錘を上昇させる際に,付属の2本のゴムバンドがそれにつれて伸びてゆき,重錘落下時には伸びたゴムバンドの復元力が落下する重錘に加速を与える工夫がされている。重錘落下地点には硬質ゴム板を敷き,路面の損傷を防止した。

3)重錘落下式震源(ドロップヒッター)(図3−8参照)

これは本来小型の杭打ち機として使用されていたものを,P波用震源として利用している。重量50kgの電動モーター(巻き上げ機),ガイドレール,鉄製ベースプレートから構成されており,モーター自体が重錘となる。モーターがベースプレートに垂直に立てたガイドレールに沿ってワイヤーを巻き上げながら上昇し,最大高さ約1.3mから自由落下し,地面に置いたベースプレートを打撃するものである。