(4)西山断層

沓掛の国道9号線から南西方向にリニアメントが認められ,北東方向に開析された小沢を横切っている。これらの河床付近では,崖錐堆積物,段丘堆積物や,大阪層群を構成すると思われる青灰色粘土層と砂礫層が分布している。これらの露頭で断層は認められない。この付近の基盤岩は山麓線付近で確認され,風化砂岩が分布している。

大枝西長町の九社神社南方山麓には明瞭な傾斜変換線がリニアメントと一致し連続している。この付近の山腹斜面には層厚1m以上の崖錐堆積物が被覆し,基盤岩は確認されない。一方リニアメント東側の丘陵地は基盤砂岩の礫を多く含む扇状地性堆積物が分布する。山麓付近に突出する尾根状地形は基盤の表層風化の二次堆積物によって,また河床は土石流的な扇状地堆積物に被覆されている場合があり,山麓線付近での基盤岩と上位層の堆積関係は不明瞭である。

北春日町西方山麓の河床には長さ約20mに渡って基盤頁岩の破砕帯が確認され,破砕帯上流側は基盤の新鮮な頁岩やチャート層が分布するが,下流側には大阪層群を構成すると思われるシルト層が見られる。崩積土により明瞭な断層は確認できない。南側の河床には炭化木片を多く含む紫灰色泥岩の分布が見られる。

これより南側の南春日町辻和球場までは深い草薮等により地形変位や断層露頭は確認されない。

南春日町地内の花の寺から南方山麓では,山麓線に沿ったリニアメントの山地側には基盤岩が,一方盆地側には崖錐堆積物の分布が比較的連続して見られる。

さらに南側の山麓では標高190m付近に基盤砂岩層中の小断層が見られる(NSP−28,29)。

岩倉川左岸支川河床の山麓には大阪層群と思われるシルト質層に断層関係で基盤のチャートの破砕帯が衝上する(NSP−30 ,図2−4,露頭スケッチ)。断層は層厚15cm程度の青灰色粘土を伴っている。

岩倉川右岸の丘陵地は水田として利用され,人工改変によりリニアメント周辺の地形変位が不明瞭となる。石作町西方山麓では山麓丘陵上に明瞭な鞍部が認められる。

この丘陵では基盤の新鮮岩と幅約50mにおよぶ破砕帯および高角度の層理面をもった大阪層群が見られる(NSP−34,35)。ここでの現況の露頭面では明瞭な断層は認められない。

早尾大明神付近にも鞍部が認められるが,鞍部南側の善峰川河床には基盤砂岩やそれを被覆する段丘礫層が分布するものの断層露頭は見られない。石作町から小塩町にかけての山麓線は比較的明瞭である。

小塩町南西端の標高190〜150m程度の丘陵地は,山地との境界が不明瞭である。この付近の地表部は基盤表層風化の二次堆積物が分布している。

長岡京市との境界付近の山麓では,リニアメント付近に基盤頁岩層の破砕帯が紫灰色粘土を伴う断層によって大阪層群と思われるシルト質層の上部に衝上する(NSP−41,42)。

リニアメント延長上の長岡京市地内の山腹には鞍部が認められる。これより南側では深谷川西方山頂に鞍部が認められる程度で,リニアメントは不明瞭となる。この付近の山地は標高200m前後であり,一般に尾根上や山腹には基盤岩の表層風化物が層厚1m程度分布しているものと思われる。一方河床部には新鮮な細粒砂岩や黒色頁岩が点在あるいは連続して分布していることが確認された。