(2)樫原断層

桂川以南でリニアメントに沿って踏査を行ったが,山際まで住居及び寺院が建て込んでおり,松尾地区付近まで露頭は確認されなかった。

西山団体研究グループ(1967)が確認した断層露頭が見られる谷(西芳寺の1つ北側の谷)より以南では,御陵三宮神社付近にかけて,礫層を主体とする露頭がいくらか確認された。

西芳寺東側バス停の南側法面(KTP−4)では大阪層群とその上を覆う低位段丘堆積物との関係が見られる。高角度で傾斜した大阪層群砂礫層と砂層を不整合に覆い低位段丘堆積物が堆積しているのが確認された。

御陵会館から国道9号線付近で急傾斜した大阪層群か観察される。御陵会館西側(KTP−9)では,約50゚傾斜した礫層中のシルト層が確認された。さらに御陵三宮神社から国道9号線にかけては,大阪層群の露頭が連続して観察でき,断層露頭は認められないが,地層が60゚から90゚傾斜しており,Ma6と推定される海成粘土層も確認された。国道9号線沿いにリニアメントから100m程度離れると傾斜は緩くなり10〜20゚程度になる。

樫原,洞雲禅寺西側の墓地の南側法面(KTP−14)では,60〜80゚傾斜した大阪層群が観察される。

樫原以南では急傾斜した大阪層群は見られず,砂礫を主体とした大阪層群上部層と崖錐堆積物が観察され,リニアメント上に傾斜変換点が見られる程度である。

リニアメント南端部は向日市街地で,地形的にも不明瞭である。