1−4−3 ボーリング調査

ボーリング調査は京都市西京区松尾地区において4地点で実施した(図4−9参照)。

調査結果を次のとおりである。

@4孔で確認した地層は大きく,沖積層の表土,扇状地性(土石流)堆積物,湖沼性堆積物と,洪積層の大阪層群の4層に区分できる。

ANo.1〜No.2〜No.3ボーリング間では沖積層内の各地層の境界は,現地表面の勾配(約2゚)とほぼ平行するように,直線的に連続する。

BNo.1〜No.2ボーリングの湖沼性堆積物は,シルト・砂・礫からなり,炭素年代測定および花粉分析結果から約(1,500?年〜)4,000年前のモミ−スギ群集〜アカガシ亜属群集を示す沖積層と推定される。

CNo.4ボーリングの湖沼性堆積物(深度13.4m試料)は,炭素年代では約1万年前を示したが,マツ−ブナ−アカガシ亜属花粉群集から判断して,炭素年代値よりも若い 7−8,000年前以降の沖積層に対比される。

D大阪層群には地層の傾斜構造が見られ,No.3〜No.2〜No.1〜No.4ボーリングでは,西側のNo.3〜No.2ボーリングほど高角度(60〜85゚)で傾斜し,No.1ボーリングでは約50゚,No.4ボーリングでは約20゚の傾斜を示す。

E No.1ボーリングとNo.4ボーリングの間で表土の基底面に約1.3〜1.5mの段差があり,大阪層群上面にも約1.5mの段差が認められる。No.4ボーリングの深度13.4mの沖積砂層(7,000〜8,000年前以降)は12゚の傾きを示しており,断層運動の影響を受けている可能性がある。

以上から,No.1ボーリングとNo.4ボーリングの間に見られる沖積層と大阪層群の地層境界のずれは,大阪層群の撓曲帯東側端部付近に形成された断層または撓曲による可能性がある。

しかし,簡易貫入試験結果から判断すると,表層上部の土器片を含有する層は断層変位を受けていないと考えられ,表土基底の1.3〜1.5mの段差は表土堆積前の断層変位,人工改変,浸食のいずれの可能性も持っている。