(2)樫原測線の調査結果

図3−17参照)

本測線の反射断面図のパタ−ンは松尾測線と非常に良く似ている。反射面の分布状況は,(a)CDP No.150付近より東側の深部まで水平に分布する区間と(b)西側の傾斜帯および(c)西端部の浅部において水平に分布する区間の三つに分けることができる。

1)CDP No.150付近から東側について

本測線の東側では多数の反射面が深部までほぼ水平に分布する構造が得られた。反射パターンおよび既往資料との比較検討から,標高−320m付近まで大阪層群が分布し,その下位には基盤の中・古生層が分布すると考えられる。この区間では大阪層群が水平に堆積する状況が明らかであり,断層による地層面の顕著なズレは認められない。

2)CDP No.150付近〜CDP No.70付近について

この区間では,松尾測線と同じように縞模様の反射パターンや東側の反射面水平分布範囲との関連から,大阪層群の傾斜帯と考えられる。反射面の傾斜は浅部ほど大きくなる傾向を示している。

この傾斜帯は,松尾測線と同じように水平に堆積した大阪層群が樫原断層を形成した断層運動によって大きく変形したものと考えられる。

傾斜帯中の反射面は,東側の水平分布区間との境界付近を除いて,比較的明瞭で連続性も概ねよいが,部分的に小さくずれていたり変形しているようなところには,小断層が存在する可能性もある。

傾斜帯と東側の反射面水平分布区間との境界付近では,反射面が不明瞭なところもあり,この付近における地層面のズレの有無を判断することはむずかしい。

3)CDP No.70付近から西側について

傾斜帯の西側には反射面が標高−100m付近までほぼ水平に分布し,この標高−100m付近の反射面が基盤上面と推定される。したがって,基盤上面深度が,東側の反射面水平分布する(a)区間と比較して大きな違いを示すことから,CDP No.70〜80付近に,相対的に東落ち,西傾斜の断層が推定される。

以上から,東側での基盤上面を標高−320m付近の反射面に,傾斜帯の西側での基盤上面を標高−100m付近の反射面に対比すると,断層による基盤上面の垂直変位量は220m程度となる。

基盤深度に関する資料としては,御陵地区のトレンチ近傍(樫原測線の北約430m)で掘削された温泉ボ−リングの柱状図がある。このボ−リング地点は本測線の反射断面にみられる傾斜帯の中(空中写真判読による丘陵地東縁部のリニアメントより東側)に位置する。それによると基盤岩が深度240mで確認されており,反射断面における傾斜帯西縁部での基盤岩上面深度が250〜300m程度に読み取れることとほぼ整合する。