(1)松尾測線の調査結果

図3−14参照)

反射面の分布状況は,測線中央部を境にして,北東側の深部まで水平に分布する範囲と南西側の傾斜帯に分けることができる。

1)CDP No.400〜440から北東側について

この範囲では,多数の反射面が深部までほぼ水平に分布する構造が得られた。反射パターンおよび既往資料との比較検討から,標高−290m付近までに大阪層群が分布し,その下位には基盤の中・古生層が分布すると考えられる。この範囲では大阪層群が水平に連続して堆積する状況が明らかであり,断層による地層面の顕著なズレは認められない。

2)CDP No.400〜440から南西側について

この範囲では,基盤上面は南西側に緩く昇り傾斜を示し,これを覆う大阪層群も浅部でより傾斜角が大きい傾斜帯を形成している。

傾斜帯では浅部ほど反射面の傾斜は大きくなる傾向がみられる。CDP No.400〜470付近の浅部では地層傾斜がかなりの高角度のためか,反射面は不明瞭である。

この傾斜帯は水平に堆積した大阪層群が,樫原断層を形成した断層運動によって大きく変形した範囲と考えられる。

CDP No.530付近から東側の標高0〜−110m付近では,傾斜帯から東側の反射面水平分布範囲まで2枚の反射面が明瞭に分布することから,この深度範囲には断層による反射面の顕著なズレは認められない。ただし,これより深部については,反射面がややずれていたり,小さく変形しているようなところが部分的にみられ,小断層が存在する可能性もある。

測線西端部については,水平重合数が低いためにS/N比が悪く,この反射断面だけから地層面のズレの有無を判断することはむずかしい。ただし,樫原測線では傾斜帯の西縁に断層が推定されることから,傾斜帯の規模が樫原測線と同程度ならば,傾斜帯浅部の南西端で反射面が不明瞭になるCDP No.560付近に,相対的に東落ち,西傾斜の断層が存在する可能性もある。