2−2−2 花粉分析

堆積物は,種子植物やシダ植物などから放出された花粉あるいは胞子の化石を含むことがある。花粉および胞子の形態は個々の植物群により特異的であるので,それから母植物群を知ることができる。これら植物群の質的あるいは量的構成を知ることにより,過去の植生を復元し,堆積当時の気候や古環境の推定が可能となり,さらに特徴的な植物種を検出することによって,地層の堆積年代を推定できる場合がある。

@ 前処理

2〜3g程度の試料中に含まれる腐植物を除去するため,10%水酸化カリウム水溶液中において加熱処理して,水洗する。試料中に含まれる無機物は,50%フッ酸処理により溶解除去する。水洗,酢酸による脱水の後,アセトリシス処理(無水酢酸:濃硫酸=9:1を混合した溶液による加熱処理)を行って有機物,花粉の内容物,付着物を除き,水洗した後,グリセリンに浸し保存する。

グリセリンに浸した化石花粉集合標本を含む溶液を適度な濃度に調整し,スライドグラス上に1滴たらしてサフラニン−Oで染色後,カバーグラスをかけて検鏡のためのプレパラートを作成する。

A 花粉化石組成

光学顕微鏡でプレパラート全面を観察し,花粉および胞子を同定する。樹木花粉が200個を超えなかった場合はさらにもう1枚プレパラートを作成し,計数を行う。