2−2−1 火山灰分析

火山灰は,一般に広域に分布してほぼ同時に堆積するため,降灰年代が判明している火山灰との対比を行うことにより,火山灰を含む地層の形成年代をほぼ特定することができる。以下に分析内容を概述する。

@ 前処理・粒子組成分析

試料を120〜250メッシュ(1/8〜1/16mm)に粒度調整するために,流水中で洗浄およびふるいわけを行う。ふるい分けした極細砂粒子を屈折率1.545の光硬化樹脂で封入し,プレパラートを作成する。作成したプレパラートを顕微鏡観察し,約10,000粒子の組成を把握し,火山ガラスの形態分類を行う。

A 火山ガラス・鉱物の屈折率測定

テフラ起源と推測される火山ガラス,斜方輝石,角閃石は,温度変化型屈折率測定装置(MAIOT)を用いて屈折率を測定する。1試料あたり30個の火山ガラスおよび鉱物それぞれを測定するが,含有量の少ない試料ではそれ以下になる場合もある。

温度変化型屈折率測定法は,火山ガラスと浸液の屈折率が合致した温度を測定することにより,各浸液ごとに決められた浸液温度と屈折率の換算式から火山ガラスの屈折率を計算して求める方法である。

B エネルギー分散型EPMA法(EDX分析)

火山ガラスや鉱物試料にエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(EMAX−5770)を用いて電子線を照射すると,各元素に固有のエネルギーを持つ″特性X線″が発生する。この特性X線の波長あるいはエネルギーのスペクトルを半導体検出器において検出・計測し,試料の元素組成を決定する分析法である。