3−2−1 八栄東地区

当地区は日吉町の西部に位置し、標高190−210mの山間地に南北方向に延びた谷の谷底平野にあたる。この付近は、空中写真判読によって東西方向のリニアメントが明瞭に認められており、このリニアメントと直交する形で南北方向に谷が伸びている。谷は、殿田断層が通過していると考えられるリニアメントを境に、上流側(南側)が大きく広がった地形となっており、北上がりの断層運動によって断層より南側の部分が閉塞されダムアップされた可能性が考えられる。もし、断層運動による閉塞が生じていれば、谷の上流部に、断層運動後に堆積した堆積物が厚く堆積していると考えられることから、この地区を調査地点候補とした(図3−32)。

空中写真判読によると、当地区ではリニアメントと谷が交差する地点が現在は水田として利用されており、この水田におけるトレンチ調査によって最新の活動履歴と活動間隔、断層の運動形態を確認することを目的とした。さらに、リニアメントを境に谷が左方向へ屈曲しているため、高密度電気探査を実施し、堆積物下の基盤の谷の横ずれ変位量を算出した。

図3−32 八栄東地区調査位置図