(9)三峠・京都西山断層帯での亀岡断層

地震調査推進本部(1995)は,京都府西部の三峠断層とその東側の殿田断層から長岡京市神足付近までのほぼ西北西方向に雁行する「京都西山断層群」(松田,1990)をまとめて,「三峠・京都西山断層帯」と名付けた。

「京都西山断層帯」は,丹波町院内(殿田断層西端)から南東端は長岡京市神足(こうたり)付近(光明寺断層南端)まで雁行状に分布するもので,それは北側の殿田断層〜神吉・越畑断層〜樫原断層と南側の亀岡断層〜光明寺断層の2列の活断層で構成されている。北側の京都西山断層群については,最新活動時期等の差違(吉岡他,1999:植村他1997)から,杉山他(1999)や地質調査所活断層研究グループ(2000)は西側の長さ10kmの志和賀セグメント(活動単位としての活断層,約3千年以前に活動)と東側の長さ30kmの世木林セグメント(約1900〜2400年前に活動)の2つの活動セグメントに識別した。いずれもB級下位の活動性を有するとされている。

水野ほか(2002)は,「京都西山起震断層」をほぼ2列の活動セグメント(活断層群)からなるとし,北側〜東側のものを北西から志和賀セグメント(殿田断層(西部)),世木林セグメント(殿田断層(東部),神吉断層,越畑断層,樫原(カタギハラ)断層)の2つのセグメントに分けた。

南側〜西側のものを亀岡セグメントとし,亀岡セグメントは亀岡断層(中部)(=吉岡(1987)の保津断層相当,F2断層相当),亀岡断層(南部)(=活断層研究会編(1991)の老ノ坂断層相当),光明寺断層(灰方断層)および円明寺断層からなるとした。いずれも,後期更新世に活動した活断層である。一方,山麓の亀岡断層を,亀岡断層(北部)として,後期更新世以降の活動の証拠がない断層と認定して,亀岡セグメントから除外している。同様に,亀岡断層の京都盆地西縁の西山断層,金ヶ原断層も同様の取り扱いをおこなっている。

亀岡断層(F1,F2断層)と北側に分布する世木林セグメントとは,5km以内の離間距離で雁行し,両者の平均変位速度は共にB級下位である。殿田断層東でのトレンチ調査から同断層の最新活動時期は1900〜2400年前,活動間隔は3100〜4400年とされている。一方,亀岡断層(F1,F2断層)の最新活動時期は特定できていない。不確かなデータでは,約4000年前以降の活動も予想されている。活動間隔は6000〜9000年以上で,2万年を越えることはなさそうである。

このように,世木林セグメントと亀岡断層との活断層データを比較すると,両者が今後同時に連動・連鎖するか,どうかを判断するデータは充分でないことが解る。今後近接し,並走する両断層(セグメント)の活動情報を得て,評価することが,課題である。