(1)層序と層相

河原林地点の地下地質層序はボーリングコアの層相と試料分析結果により,上位からT層,U層,V層,W層に区分した。さらに,V層はV−1層,V−2層に,W層はW−1層〜W−10層に細分した。なお,W層中の層序に関しては,反射法地震探査(P波,河原林測線)による反射面の連続性を考慮して対比した。T層は沖積層に,U層およびV層は段丘堆積層相当層に,W層は大阪層群相当層に対比されると考えられる。

a) KA−2(L=100m,GH=97.41m)

@T層(GL−0.00〜9.47m,GH=87.94〜97.41m)

T層は主に礫混じり砂からなり,層相から上部(GL−0.25〜1.80m)と下部(GL−1.80〜9.47m)に細分できる。本層上部は径1〜3cmの亜角礫を含む礫混じりシルト質砂からなる。本層下部は径0.5〜3cmの亜円〜円礫を含む粗粒砂〜極粗粒砂で,一部砂層が挟在する。全体に非常に緩い堆積物である。本層上部は扇状地性堆積物,本層下部は河川成堆積物であると考えられる。

AU層(GL−9.47〜12.35m,GH=85.06〜87.94m)

U層は上部のシルト層と下部の礫層からなるユニットである。本層上部はにぶい黄褐色のシルトで細礫や砂を含む。本層下部は中礫主体で,基質は砂質な部分とシルト質な部分が繰り返す。緩い堆積物である。

BV−1層(GL−12.35〜21.80m,GH=75.61〜85.06m)

V−1層は礫混じり極粗粒砂からなる。礫は一般径0.5〜3cm程度で円〜亜円礫主体である。緩い堆積物である。

CV−2層(GL−21.80〜27.00m,GH=70.41〜75.61m)

V−2層は大礫混じり中礫からなる。礫は一般径1〜5cmで,丹波帯の頁岩,チャート,砂岩の亜円礫および亜角礫主体である。やや締まった地層である。

DW−3層(GL−27.00〜44.40m,GH=53.01〜70.41m)

W−3層は大礫混じり中礫からなる。礫は一般径1〜5cmで,丹波帯の頁岩,チャート,砂岩の亜角礫および亜円礫主体である。酸化しにぶい黄褐色を呈する。締まった地層である。

EW−6層(GL−44.40〜46.80m,GH=50.61〜53.01m)

W−6層は粗粒砂と礫混じり砂の互層状の産状をなす。砂層中にはほぼ水平な弱いラミナが見られる。締まった地層である。

FW−7層(GL−46.80〜59.80m,GH=37.61〜50.61m)

W−7層は大礫混じり中礫からなる。礫は一般径2〜5cmで,丹波帯の頁岩,チャート,砂岩の亜角〜亜円礫からなる。締まった地層である。

GW−9層(GL−59.80〜68.90m,GH=28.51〜37.61m)

W−9層は暗緑灰〜緑灰色を呈するほぼ均質なシルトからなる。深度61.7m付近に厚さ5cm程度の白色細粒の火山灰を挟む。深度62.5〜62.9mは腐植質で藍鉄鉱を散在する。深度64.5mは水平な弱いラミナがみられる。締まった地層である。

HW−10層(GL−68.90〜100.00m,GH=−2.59〜28.51m)

W−10層は大部分が大礫混じり中礫からなる。礫は一般径2〜5cmの亜円〜亜角礫主体で,礫種は丹波帯の砂岩,頁岩,チャートからなる。基質は粗粒〜極粗粒砂からなる。深度82.22〜83.20mに極細粒砂を,深度96.05〜97.25mに礫混じり粗粒砂を挟む。

b) KA−3(L=130m,GH=108.36m)

@T層(GL−0.00〜5.33m,GH=103.03〜108.36m)

T層は主に礫混じり砂からなり,極細粒砂や礫混じりシルトを挟む。礫は径数mm〜3cm程度の丹波帯の角礫主体である。全体に上方細粒化する傾向がある。全体に非常に緩い堆積物である。なお,表層の約15cmは表土からなる。

AU層(GL−5.33〜13.50m,GH=94.86〜103.03m)

U層は大礫混じり中礫を主体とし,深度7.30〜9.70mにシルト・砂・火山灰・腐植質シルトを挟む。大礫混じり中礫部分は径1〜6cmの丹波帯の亜角礫主体の礫を多く含む。深度8.27〜8.47mに灰黄色を呈する細粒な火山灰を挟む。

BV−1層(GL−13.50〜22.20m,GH=86.16〜94.86m)

V−1層は主に一般径1〜4cmの亜角礫主体の大礫混じり中礫からなり,上部に層厚50cm以下のシルトや極細粒砂を挟むほか,深度20.40〜22.00mに粗粒砂を挟む。全体に緩い堆積物であるが,最下部の粗粒砂は非常に緩い堆積物である。

CV−2層(GL−22.20〜33.30m,GH=75.06〜86.16m)

V−2層は主に一般径2〜6cmの丹波帯のチャート,砂岩,頁岩の亜角〜亜円礫を含む大礫混じり中礫からなり,最下部の腐植質シルトを挟む。深度32.5m付近に腐植質シルト中に層厚2cm程度の灰白色を呈する細粒な火山灰を挟む。

DW−3層(GL−33.30〜70.73m,GH=37.63〜75.06m)

深度33.30〜59.90mの本層上部は主に中礫からなり,一部に大礫混じり中礫,シルトおよび礫混じり砂を挟む。中礫に含まれる礫は一般径1〜4cmの丹波帯のチャート,砂岩および頁岩の亜円〜亜角礫で,基質は淘汰の悪い粗粒砂からなる。

深度59.90〜70.73mの本層下部は大礫混じり中礫からなる。礫は一般径2〜5cmの亜角〜亜円礫主体で,礫種は丹波帯のチャート,砂岩および頁岩の亜角〜亜円礫がほとんどでわずかに石英斑岩礫を含む。基質は極粗粒砂〜粗粒砂からなる。

全体に酸化しにぶい黄褐色を呈する。締まった地層である。

EW−6層(GL−70.73〜71.17m,GH=37.19〜37.63m)

W−6層は径数mmの細礫を含む淘汰の悪い極粗粒砂からなる。

FW−7層(GL−71.17〜82.70m,GH=25.66〜37.19m)

W−7層は一般径1〜4cmの丹波帯の亜円〜亜角礫主体の中礫からなり,基質は淘汰の悪い極粗粒砂である。

GW−9層(GL−82.70〜94.08m,GH=14.28〜25.66m)

深度82.70〜87.07mの本層上部は一般径1〜5cmの亜角〜亜円礫主体の中礫からなり,最上部に礫混じり粗粒砂を挟む。

深度87.07〜94.08mの本層下部は主にシルトからなり,中礫や砂を挟む。シルトは暗緑灰色のほぼ均質なシルトからなるが,一部腐植質となったり炭質物濃集部を挟むなど層状の堆積構造がみられることがある。

HW−10層(GL−94.08〜130.00m,GH=−21.64〜14.28m)

W−10層は大礫混じり中礫からなる。礫は一般径2〜6cmの亜角〜亜円礫主体で,礫種は丹波帯のチャート,砂岩,頁岩からなり。まれに石英斑岩礫や花崗岩礫を含む。基質は淘汰の悪い粗粒砂からなる。