1−6−1 亀岡断層の分布と性状

亀岡盆地南部において盆地を横断する3測線で反射法地震探査を実施して,基盤岩分布や堆積層などの地下地質構造を明らかにするとともに,亀岡断層が「盆地内の亀岡断層」(F1断層,F2断層)と「山麓部の亀岡断層」(F3断層)からなることを明らかにした。いずれも東北東隆起の逆断層である。平面的には調査地南部の保津町付近で収束するような分布形態を示す(図1−1 亀岡断層ストリップマップ)。

@F1断層

F1断層は反射法地震探査の馬路測線,河原林測線および保津測線の長さ約3km区間で確認した。F1断層は山麓線から0.5〜1.5km前縁(西側)の盆地内に位置する。地表面ではF1断層の活動による直線的な変位地形は認めがたく,F1断層は盆地内の伏在断層として位置づけられるが,この断層線より北東側にのみ段丘面が発達することから,全体として見た場合には浸食を受けた変位地形の存在を暗示している(図1−1)。

F1断層は馬路測線と河原林測線では基盤岩上面に断層変位を与え,大阪層群相当層には撓曲変形の構造が認められる。一方,保津測線では基盤岩と堆積層の境界をなす断層として現れる。F1断層による変位量は河原林測線ではB反射面(Oda火山灰,420−450kaを挟む)で約65m,C反射面で約100m,D反射面で約115m,E反射面(基盤岩上面)で約160mであり,断層変位に累積性がある(図1−2図1−3)。

AF2断層

F2断層は反射法地震探査の河原林測線で認められるほか,千歳町国分から保津南方にかけてL1面に撓曲崖や低断層崖として,山麓線から数100m前縁(西側)の盆地内にほぼ連続的に分布する。確認した長さは反射法地震探査の河原林測線から保津南方までの約3.3kmである(図1−1)。反射法地震探査ではいずれの測線でもE反射面(基盤岩上面)の変位量が10〜15mと小さいことや,反射面の形態から,F2断層はF1断層に付随した断層と見なせる(図1−2図1−3)。

F2断層によるL1面の変位量を地形測量により求め,保津町〜千歳町国分では1.5〜3m,保津町南方では6〜9.5mの変位量が得られた(図1−4図1−5図1−6)。このうち,保津南方ではF1断層,F2断層およびF3断層が収束する位置にあるため,6〜9.5m/L1面は亀岡断層全体の変位量を示している可能性がある。

BF3断層

F3断層は反射法地震探査河原林測線の最も山麓側で確認し,基盤岩と堆積層の境界をなす断層として現れる。E反射面(基盤岩上面)の変位量は約135mであるが,堆積層中ではF3断層を挟んで下盤側と上盤側で明瞭に対比できる反射面がないため,新規の活動性に関する情報は得られなかった(図1−2図1−3)。また,F3断層はほぼ山麓線に沿う断層であるが,山麓線を横断する地形面に明瞭な変位地形は認められなかった(図1−1)。