(2)分析方針

ボーリングコアは全体に礫質で、肉眼観察から火山灰の混入は認められない。炭素年代測定に適した炭質試料もわずかであり、年代分析試料採取には、不適切なコアである。

ボーリング地点に近い亀岡市千歳町江島里地区(標高112〜113m)において、平成8年度京都府活断層調査(3)で2本のボーリングが実施されている。やや泥質で、深度10m付近に姶良−Tn火山灰(AT)が、深度31m付近に大山系火山灰(DSP)が、深度31〜35mに阿蘇−4火山灰(Aso−4)や鬼界葛原火山灰(K−Tz)の産出が報告されている(図3−1−24)。また、亀岡市の宇津根橋付近の基盤岩までの到達したボーリング(標高88mと思われる)の深度145−163mの粘土から大阪層群上部Ma3−5に相当する花粉組成が報告されている(近畿農政局,1973)(36)。このような既資料を考慮に入れ、以下の分析方針で試料を採取し、分析を進めた。

(1)T層対象の試料分析

T層基底から植物遺体を採取し、炭素年代測定を行った。また、鬼界アカホヤ火山灰(Ah)等の完新世火山灰の産出が予想されている。数10cm間隔で試料を採取し、火山灰分析を行った。

(2)U層対象の試料分析

更新世後期の地層と推定され、京都府活断層調査(3)の結果を参考にすると、標高80m付近の阿蘇−4や鬼界葛原火山灰(K−Tz)等の産出が予想される。産出想定深度を中心に、連続的に試料を採取し、火山灰分析を行った。

(3)V層対象の試料分析

V層中には、3枚のシルト−粘土が挟まれる。その内、中位(深度84m,標高3m)、下位(深度113〜117m,標高−17〜−21m)の2枚シルトは試料採取に充分な数mの層厚で、かつ腐植混じりである。さらに、下位のシルト−粘土は反射面Bに対応することから、その堆積年代は重要である。この中・下位のシルト−粘土を対象に、花粉分析と古地磁気測定を行った。さらに、V層礫層中のシルト薄層を対象に、火山灰分析を行った。