(4)亀岡断層の活動度

「盆地内の亀岡断層」に繋がる可能性のあるF1断層は、反射面Bに約55mの変位・変形を与えている。反射面C、D、Eを基準とした変位量は約105m、115m、160mで、顕著な累積を示す。反射面B対応層は、火山灰分析による堆積速度からの堆積年代値(約36万年前)や花粉組成からの対比で大阪層群海成粘土Ma9の上部に相当する。このことと、反射面の強度や間隔に着目し、京都盆地で実施されたP波探査反射断面(51)と本調査の反射断面との比較検討から、反射面BはMa9に、反射面CはMa6に、反射面DはMa5、反射面EはMa3の層準に対比できる可能性がある。Ma9は約40万年前、Ma6は約60万年前、Ma5は約70万年前、Ma3は約85万年前とされている(52)。それぞれの反射面の変位量と形成年代値からF1断層の上下平均変位速度は0.1〜0.2m/千年で、活動度B級下位である。この値は、低位段丘上の断層崖の最大比高と形成年代から求めた0.25m/千年に近似することから盆地内の亀岡断層の活動度として、ほぼ妥当な値と判断される。