5−4 亀岡盆地と断層分布

付図1付図2参照)

 亀岡盆地は丹波山地の中でも、大きい盆地に分類され、北西−南東方向の亀岡断層に沿い、西高東低の傾動運動によって形成された断層角盆地で、東側に急崖が見られる。北西−南東方向の距離は約16km、断層の幅は最大で約2kmと北西−南東方向に細長い分布を示している。当盆地東縁部山麓は明瞭な三角末端面が多く認められ、山麓部に位置する亀岡断層の影響がうかがえ、北東に突き出たように緩く弧を描くように山地部と盆地部はシャープに限られている(写真1)。しかし、西縁部は丁塚山、行者山および城山の山地尾根部が盆地中央部に向けて侵入した様子を見せ、山地部と盆地部の境界は凹凸に富んでいる。

 盆地面は段丘面と沖積面よりなり、崖や山地の麓では岩屑が崖麓や谷を埋めて緩斜面をなし、崖を刻む大きい谷の谷口部には扇状地が見られる(三俣川、七谷川、愛宕谷川)。扇状地を構成する堆積物は主に背後の山地部から供給されたものであり、その堆積層はチャート、頁岩及び珪質頁岩が主体となっている。盆地内に広がる段丘面(標高110〜100m)は段丘面分類の中で最も新しい下位段丘面に対比される。(土地分類基本調査 京都北西部から一部引用)

 亀岡断層は亀岡盆地を形成する成因から、東西からの圧縮を受けた逆断層的性質が考えられ、実際に、低断層崖のほとんどは東側隆起のセンスを示している。亀岡断層の推定活断層は当盆地東縁部、山地部と盆地部の境界部に沿って北北西〜北西方向に連続的に分布し、その長さは約15〜16kmである。しかし、大きい谷の谷口部ではやや不明瞭となり、断続的に連続する傾向がある。空中写真から判読される明瞭な活断層と、やや不明瞭な活断層は山地部から離れ、盆地内部(低位段丘面や扇状地面上)にほとんどが分布し、亀岡盆地でも南部地域(亀岡市保津町から千歳町)に集中する傾向がある。但し、その連続性は非常に悪く断続し、数100mから長い断層でも2kmと短く、それらは緩やかに走向を変えながら、1本又は2本並列して分布する。

○亀岡市保津町から千歳町にかけての地域(図5−5図5−6図5−7

 保津町は愛宕谷川の谷口部に位置し、南西方向に緩斜面を示す扇状地上にある。桂川はこの扇状地の発達に伴い、南方に迂回している。この扇状地堆積層は中礫層から構成され、層厚約20mを示し、地表から約5m下位に姶良Tn(AT)らしい火山灰が含まれていることが報告されている(地質調査所, 1989)。その下部には桂川の後背湿地的な細粒の堆積物が堆積している(写真3写真4)。上火無から千歳町毘沙門にかけては山麓に沿うように低位段丘面(L1面)が幅200mで北西方向に続く。より新しいとされる低位段丘面(L2面)は扇状地南端部に東西に幅20〜30m、長さ1kmで細長く分布しする。山麓部の低位段丘面および扇状地面と桂川の間には、桂川に沿って、一万年以内に堆積したと考えられる沖積低地面(標高90〜95m)が広域を占める。

 この地域における活断層(以下に低断層崖とする)の分布は保津町引無地区に、北北西方向に東側隆起最大2.8mの急崖が約300m、扇状地を切るように直線的に分布し(写真5)、案察使にも同方向に東側隆起最大1.8mの急崖が300m程度続く(写真6写真7)。しかし、その北部地区の上火無地区では低断層崖の走向は北北西と同走向と近似した方向を示すが、本低断層崖は西側隆起のセンスを示すようになる(写真8)。

 山麓部には同走向を示す推定活断層が位置し、愛宕谷川の谷口部は扇状地に覆われ確認できなくなる(写真10)。

図5−6図5−7 と空中写真が入る。

○千歳町毘沙門地区から三日市にかけての地域(図5−8図5−9図5−10

 中央部に七谷川が西流し、山地部から七谷川によって、運搬された土砂は河原尻地区に大きな扇状地を形成し、扇端部は西方に大きく凸型に発達する。山麓部には山麓線に沿って、細長く扇状地や低位段丘が発達する。七谷川を挟んで南側は低位段丘面のL1面に対比される段丘が分布するが、北側にはより新しい時代に対比される低位段丘面のL2面が北方に細長く分布する。七谷川沿いは狭い範囲で付近より一段と高くなり、細長い天井川地形を示している。七谷川は扇状地の先端まで西方向に流れているが、急に南流し始め、沖積低地部部を蛇行しながら桂川に合流する。

 明瞭な低断層崖は南部で北北西の走向、西側隆起を示していたが、毘沙門地区から国分寺付近にかけては低位段丘面(L1面)上を東側隆起1.9m、北西走向と東側隆起のセンスを再び示すようになる。国分寺西方では、さらに、走向を北方向に変え、東側隆起0.9mを示し、七谷川の天井川地形上ではやや不明瞭になる。七谷川北部域では北北西に走向を変え、北側扇状地の末端部で再び不明瞭となる。ここまで、幾度か走向は変えるが、やや連続的に約2km断層の長さが認められ、亀岡断層のなかで活動度が高いと考えられる地域では最長となる。その北側では低位段丘面L2面と沖積低地面を境するように、三日市の三角形バルジを囲んで、西南西の走向から北北東の走向に変え(写真14)、その北側は北北西から北西に走向を緩やかに変えながら北方に続く。本低断層崖の長さは1.6qが認められる。

 先に説明した低断層崖と併走するように、東側山麓部との間には七谷川の北部千歳町江島里地区から、東側隆起1.6mで、北北西の走向のセンスを示す低断層崖が扇状地中央部を約200m北走する。さらにその北部は北方に従って不明瞭になりながら走向を北東に換え、東側隆起で4.2mを示すが、出雲神社西側で不明となる。

 七谷川の谷口部では丹波帯の頁岩露頭中に、破砕帯露頭が見られる(写真16)。

この破砕帯は幅約10m、走向をほぼ南北にとり、ほとんど鉛直の傾斜を示す。付近には丹波帯の基盤岩の上部に、不整合に堆積する低位段丘と思われる基底礫層が確認された(写真17)。本破砕帯の15m西側ではすぐに、基盤岩は地中に没して見られなくなり、細粒の段丘礫層露頭が見られることから、この付近に上下変位を伴う南北性の推定の断層が存在することが示唆され、空中写真判読からの結果と符合する。

!このあとに図5−8図5−9図5−10と写真がはいる。

○千歳町三日市地区から旭町にかけての地域(図5−11図5−12図5−13

 南側から連続する扇状地と低位段丘(L2面)は、山麓線に沿って幅約1km程度、盆地内部には山地部から分離するように、3体の丘陵地が分布する。山麓部から沖積低地にかけては南から連続する扇状地と低位段丘が3体の丘陵地を含むように、山麓線に沿って北北西−南南東方向に幅約1qで細長く分布するが、扇状地は北方に従って細くなり、断片化するようになる。また、南部の馬路町には桂川から供給された土砂によって自然堤防が形成され、集落は桂川の自然災害を避けるように、自然堤防上に集中している。

 南側地域から連続する明瞭な低断層崖は、東側隆起1.2〜2.2mで、北西から北北西にかけて走向を示し、池尻下池の南側で不明となる(写真18写真19写真20)。また、山麓側の扇状地および低位段丘(L1面)上に東側隆起約2.2m、北北西から北西に走向を示す低断層崖が約900mにわたって断続的に続く(写真21写真22)。丘陵地の北側には明瞭な断層は認められない。推定活断層は出雲付近で途切れ、その北側は厚い崖錐堆積物のため不明瞭となる(写真24)。

○千歳町三日市地区から旭町にかけての地域(図5−11図5−12図5−13