4−1 空中写真判読概要

地形・地質踏査の準備作業として空中写真による情報収集は重要な事項である。空中写真は、地形情報を読みとるには情報が多く、広く利用されている。また、地形図より微細な地形を判読でき,植生・土地利用も判読できる。実体視(立体視ともいう、以降、実体視に統一する)が可能、地表の色調・植生・土地利用などが判読できるなどの点で優れている。活断層調査は人工改変が一番の障害となる。過去に断層崖を表現していた地形も田畑の圃場整備や宅地などの整備の理由より、現地形から活断層崖を見つけることは困難となった。しかし、空中写真は昭和20年代以降、複数回撮影されていることがほとんどである(撮影回数は地域差がある)。よって、古い過去の写真から断層地形を判読することは比較的容易であると考えられる。判読可能な項目は次のとおりである。

・地すべり地、崩壊跡地形、軟弱地盤、リニアメント、断層崖の分布、規模、性状

・地形から推定される表層部の地質、土質、地質構造

・地表水の性状

・既設構造物

・植生条件

 活断層調査において、地形は活断層の過去の運動を記録していることが大前提であるため、特に判別する項目は一般に行われる以上の点よりさらに、地形学的専門知識・経験(地形発達を考慮に入れること)を要する。山地・段丘面・沖積面など地形の性状のほかテクトニック的要素からなる微地形の判読が必要である(図4−1)。

・段丘面・沖積面(扇状地を含む)の変位

・風隙谷(ウィンドギャップ)や尾根の不連続

・谷・尾根のオフセット(断層の横ずれ運動により変位した谷・尾根線)

・三角末端面

・地溝・地塁

・その他