(1)目的

大地に直流電流を流し、それにより形成される電位から地下の比抵抗分布を解析し、地盤の分布を推定する方法を電気探査比抵抗法という(物理探査学会(1989))。

比抵抗とは物質固有の抵抗を意味し、辺長が1mの立方体様で、断面積が 1 m2 の物質の電気抵抗に相当する。単位はΩ・mである。地盤はそれを構成する鉱物の種類、鉱物粒子間の孔隙を満たす水のイオン濃度や量または温度等によって異なった比抵抗を示す。

直流電流を地盤に流すことにより発生する電位を一次電位と呼び、一次電位の形成後、この電流を切る時に減衰電圧が残留する。これを二次電位と称する。この一次電位と二次電位の比や二次電位の時間積分値から求められるのが充電率である。物質の種類や状態によって蓄えられる電荷の容量や放出に要する時間が異なるので、充電率も比抵抗とともに物質の電気的性質を表す重要な指標である。

充電率を観測する探査法は一般に強制分極法と呼ばれている。特に断層が存在すれば、粘土のような断層破砕帯内物質に起因して比抵抗は低下し、充電率が増加する現象が知られている。

そこで、電気探査比抵抗法と強制分極法の併用により、測線上の各点において深度方向の比抵抗と充電率の分布を求め、これから断層の存在位置や存在形態を推定することが可能であり、本調査でも、断層の分布を把握するため実施した。