(3)断層露頭

踏査で発見された断層露頭は以下の4ヶ所である。

1) 益城町平田南の小沢の右岸急崖 (m381)

2) 益城町平田町道の崩壊法面 (m364)

3) 西原村布田(布田川左岸斜面 m612)

4) 長陽村立野(白川左岸 m786)

以下にその詳細を記す。

(1) 益城町平田南の小沢の右岸急崖 (m381)

本露頭は益城町平田の集落内の小沢の右岸側の急崖である(図2−1−11)。この部分はAso−2火砕流堆積物とAso−3火砕流堆積物が直接接している。破砕部分はほとんどなく、Aso−2の褐色風化粘土(幅5〜20cm)が介在している。断層は図2−1−12に示すように、河床付近の断層はN50゜E,90゜の走向、傾斜を示し、露頭上部では赤色風化部を介してN88゜W,68゜SおよびN70゜E,76゜Nを示す。断層部分ではAso−2、Aso−3火砕流堆積物に北西側の低下の引きずりが認められる(写真2−1−17写真2−1−18)。

図2−1−11 露頭位置

図2−1−12 露頭スケッチ

写真2−1−17 益城町平田南の断層露頭

写真2−1−18 同上断層の拡大写真

(2) 益城町平田町道の崩壊法面 (m364)

本露頭は益城町平田の公民館脇の町道の道路法面の崩壊部分(図2−1−11写真2−1−19)で、急崖上部は竹林である。

断層はAso−2火砕流堆積物と礫層、砂層、砂質シルト層(L1面堆積物に相当する)が接している。断層は南側の1条が最上部に近い黒褐色土壌に挟まれるATn((財)原子力発電技術機構(1996)によれば直下の黒褐色土壌で19,940±390yB.P)までを切り、L1面堆積物の基底面が4m以上の北西落ち変位を示す。

北側の断層は、Aso−2火砕流堆積物と南側のL1面の基底礫層との境をなす。しかし、断層はL1面堆積物の上部層(砂質シルト層)まで達しない(図2−1−13)。

南側の断層はN70゜E,88゜Nの、北側はN81゜E,85゜Sの走向、傾斜を示す。なお、南側の断層付近では礫層に引きずりが認められる。

この断層は、小規模な地溝を作り、断層露頭の北側にリニアメントを判読した崖の存在や平田地区のピットの観察から布田川断層の派生断層とした。

図2−1−13露頭スケッチ

写真2−1−19 益城町平田の露頭 山側の断層の拡大部

(3) 西原村布田(布田川左岸斜面 m612)

本露頭は布田川が益城町と西原村の境で山間の峡谷をなす所で、西原村から布田川の峡谷に入って約400m程下った河川の屈曲部である。この露頭は渡辺・小野(1969)の指摘した所に相当する(図2−1−14図2−1−15写真2−1−20)。

断層は南側のAso−2火砕流と北側の火山灰、礫層等を介し高遊原溶岩(輝石安山岩)が接している。断層はAso−2火砕流堆積物内の高角度の断層(N73゜E,82゜N)と派生したように見えるやや緩い傾斜の断層(EW,48゜S)があり、後者では上盤側のAso−2火砕流堆積物が下盤側の高遊原溶岩や火山噴出物に高角度(南落ちN64゜E,78゜S)で接する。

図2−1−14 露頭位置

この他には、渡辺(1984)により報告された益城町下陳の金山川の露頭があるが、現在は確認されない。

図2−1−15 露頭スケッチ

写真2−1−20 西原村布田(布田川左岸の露頭)

(4) 長陽村立野(白川左岸 m786)

本露頭は白川左岸の急崖の露頭である。

断層は先阿蘇火山岩類の露頭の中にあり、断層の東南側が火砕岩、西北側が安山岩溶岩でその境界をなす。この断層の走向傾斜はN41゜E,81゜Sの高角度の断層で、南側低下である。火砕岩は浸食され、上に角礫層が分布する。この断層は見かけ上南側低下であるが、断層面上の条線は水平であり、横ズレ変位の可能性がある(図2−1−16図2−1−17写真2−1−21)。

図2−1−16 白川左岸、断層位置図

図2−1−17 白川左岸の断層露頭スケッチ

写真2−1−21  同上断層の露頭