(1)地形区分

(1) 段丘面区分基準

段丘面については面の開析程度、現河床からの比高などに基づき区分し、既往文献、高遊原溶岩やAso−4の分布との対応関係、テフラとの関係などを参考に地形面の対比、形成年代の検討を行った。

高遊原溶岩からなると推定される平坦面は、地表面に浅い谷が発達する程度の平坦面で、広い面からなり、段丘外縁の段丘崖は小谷による開析がほとんど認められず、平滑である。このような、地表面と段丘崖の形態は、浸食に対する抵抗性が高いことを示唆している。これらの面を高位よりTa1、Ta2、Ta3の面に細分した。Ta1面は小丘状である。Ta2、Ta3面は台地状の平坦面で、Ta2面は台地の主部をなし、Ta3面はTa2面より5〜10m低位に分布する。 Aso−4火砕流堆積物の堆積面と推定される平坦面は、平坦な地表面とその外縁の直立した段丘崖で特徴づけられる。段丘崖面は、浸食による細かい凹凸が認められる。これらの面を高位よりAso−4f0、Aso−4f1、Aso−4f2面に細分した。

Aso−4f0面:この面は山麓斜面や尾根筋に小規模に分布する。

Aso−4f1面:この面はAso−4f0面より10〜20m低位の平坦面であり、旧河道沿いや山麓斜面に分布する。比較的広い平坦面からなる。

Aso−4f2面:この面はAso−f1面より10〜30m低位に分布する平坦面で、上記の2面より現河川の近くに分布する。河道に沿う凹所を埋積するように分布し、きわめて平坦で広大な面をなす。

Aso−4火砕流堆積物の堆積面以降は、河川による堆積面と考えられる河岸段丘が数段発達する。これらを高位より M2面、M2'面、L1面、L2面、L3面に区分した。

M2面は河成段丘として最も広く分布する。地表面は平坦で、段丘外縁から僅かに開析谷が発達する程度であり、原面の保存は良好である。この面は現河川沿いに緩く傾き、沖積面との比高はおよそ30〜40mである。

M2'面はM2面とほぼ類似の形態を示すが、M2面をわずかに刻みこんで分布する。

L1面は、地表面が平坦で、段丘外縁を開析する谷は発達していない。M2面やM2'面の10〜20m下位に分布する。

L2面は、L1面に類似し、平坦な地表面と小谷の発達しない段丘崖の形態を示す。この面はL1面の5〜10m下位に分布する。

L3面はL2面の5〜10m下位に分布する。

なお、Aso−4f面の高位に尾根状を呈する平坦面が認められ、高位からH1、H2、H3面と区分した。それぞれの比高は10〜20mの崖によって境される。

A面は河川沿いの僅かに高い面で、沖積地の一部である。山地側から流下する支流沿いに分布する平坦面である。

また、山腹斜面基部に認められるやや急傾斜を示す扇状地ないし舌状の平坦面は、時代未詳の扇状地性平坦面として区分した。

なお、九州活構造研究会(1989)との対応は以下の通りで、今回の判読結果と概ね調和している。

「九州の活構造」      今回の調査

溶岩台地(V)       Ta1、Ta2、Ta3面

阿蘇4火砕流堆積物(PAS)  Aso−4f0、Aso−4f1、Aso−4f2面

河成中位段丘(fM) M2〜L2面

河成低位段丘(fL) L3面

(2) 判読結果

布田川断層沿いの地形は、北から高遊原台地、木山川沿いの低地と南側の山地、さらに調査地東方山地に区分される。

北側の高遊原台地は北方の白川と南側の木山川に挟まれた標高150〜200mの台地であり、既往の地質では高遊原溶岩が分布することから、Ta面とし、熊本空港部分を含む広い平坦面をTa3面とし、この面より高い小規模な平坦面をTa2面とした。また、Ta3面の南側末端付近の小丘をTa1面とした。

この台地の南西側にはTa3面より低い標高100m以下で西南西に緩く傾斜し、比較的浸食されていない面が広がっている。この面をAso−4f2面とし、託麻台地に相当する。このTa面とAso−4f2面が主要な堆積面である。前者は高遊原溶岩の上面であり、後者は概ねAso−4火砕流堆積物の上部の託麻礫層の堆積面に相当する。

各面共にローム層や黒色土壌で覆われる。

南側の山地は船野山や大峯等の側火口の独立した山地と阿蘇外輪山の山麓斜面からなる。 船野山より南西側では段丘面が発達していて、標高50〜35m間にM2面が認められ、特に小池〜北甘木間の丘陵に広く発達し、北西へ傾動した平坦面をなしている。

南側山地の小沢周辺には、扇状地様の地形が広がり、標高50m以下にはL1面、標高40m以下がL2面が認められる。小池〜北甘木間のM2面の北西側にはL1面、L2面が浸食をあまり蒙らない形状で分布し、L1面の一部は北西に傾動している。

船野山北麓や斜面では、段丘や平坦面の発達が悪い。山麓には小規模なL1面が見られる程度である。この地区の段丘面は傾斜がやや急で崖錐や土砂に覆われるように見える。

畑中川の右岸から金山川にかけては、標高200mから100mにかけての尾根筋の平坦面があり、Aso−4f1面と判定した。尾根筋から1段下がった斜面の平坦面があり、この平坦面は標高150〜100m間にAso−4f2面とした。

この地区の山麓斜面はほぼ連続して段丘面があり、上位からM2面、L1面、L2面に区分した。また、田中〜平田地区間は標高35m以下の扇状地でありL3面とした。

金山川右岸から東北方の大峯間は、西原村秋田以南の山地の尾根筋の平坦面はAso−4f1面やAso−4f2面としたが、秋田以北では大峯に近くなり、標高も高遊原台地に類似しているので、Ta2面とした。

なお、益城町杉堂付近の布田川左岸の山麓には、小規模にM2面、L1面、L2面、L3面が発達する。また、西原村布田の布田川沿いの低地はL2面が広がる。

木山川の南東方の山地斜面では小規模な平坦面が尾根筋に散在する。標高300〜400mに達するので、この平坦面をH面とし、比高からH1、H2、H3面に区分した。

調査地東方の山地では、肥後ゴルフ場の尾根筋にはAso−4f1面がかなり浸食された形状で分布し、その上部にもさらに浸食された平坦面があり、この面をAso−4f0面とした。

Aso−4f1面の下に浸食の少ない平坦面が白川沿いの標高200〜150m間に分布し、この面をAso−4f2面とした。扇ノ坂付近の山稜にも平坦面が小規模に並んでいて、この面は比高からH1、H2、H3面に区分した。俵山の西側の山腹〜山麓にかけては、時代未詳の扇状地性のやや急な平坦面が広く分布する。

木山川に沿う低地は下流の益城町小池付近で幅2km、益城町平田付近で約500m程度であり、下陳の金山川合流部より上流では急速にせばまり、全て沖積地である。

この低地では、北西側が木山断層によると推定される単調な急崖が連続する。低地の南東側は山裾の凹凸が多く、小池付近で丘陵が低地内の中央付近まで張り出し、益城町赤井では低地に赤井火砕丘が突き出ている。船野山や赤井の山裾の緩斜面はL1、L2面と判断した。

砥川付近の山裾にも段丘面(L1、L2面)が発達する。