(2)B−2コア試料の花粉分析

分析試料:B−2地点のコア試料も主として砂礫層からなるが、それらに挟まれる細粒部について分析処理を行った。なお、B−2コアで、深度5.50〜6.10m、深度6.50〜7.60mおよび深度9.25〜9.70mも柱状図(3.5.2ボーリング調査結果参照)では「礫混じり粘土」または「礫混じりシルト」と記載されているが、色調が黄褐色で、火山灰の風化土様を呈し、花粉粒の含有が期待されないことからこの層準の試料処理を行わなかった。

結果:図3−8−3−3に花粉ダイアグラムを示すとともに、以下に各試料の分析結果と特徴を略記する。

OB−2−1(深度1.37m)〜OB−2−6(深度2.00m)は針葉樹ではマツ属とモミ属およびツガ属が数〜10%の低率ながら産出し、広葉樹ではアカガシ亜属が10〜16%とやや高率な産出を示し、その他にクリ属/シイノキ属が数〜10%の産出を示す。また、コナラ属コナラ亜属(以下、コナラ亜属と記す)は1〜3%と低率ながら認められる。草本類ではイネ科が30%前後の高率な出現を示し、ヨモギ属が10%程度、カヤツリグサ科が5%程度の産出である。胞子では単条型、三条型ともに数%程度の産出であるが、OB−2−6では単条型が約35%に達している。なお、OB−2−3(深度1.80m)では、花粉粒数が少なく考察に加えていないが、三条型が多いという特徴が認められる。 

OB−2−8(深度10.40m)〜OB−2−9(深度10.60m)では、針葉樹のマツ属、モミ属、ツガ属、トウヒ属がすべて2%以下で産し、広葉樹ではハンノキ属が50〜60%に達して極めて高率に産出して特徴がある。その他にアカガシ亜属、コナラ亜属、エノキ属が2%以下の産出である。草本類ではキク科が3〜4%、イネ科が4%程度、カヤツリグサ科が2〜2.5%である。胞子では単条型が20〜30%と高率に産し、三条型は1〜2%で極めて低率である。なお、この層準では、OB−2−7(深度10.20m)とOB−2−10(深度10.8m)では花粉、胞子の産出がない。

OB−2−11(深度11.90m)〜OB−2−13(深度12.30m)では花粉の産出が極めて少ない。ただし、−11と−12の胞子は単条型より三条型の産出が多い傾向が認められる。

図3−8−3−3 ボーリングB−2花粉ダイヤグラム

OB−2−14(深度12.50m)では針葉樹でマツ属が8.5%、モミ属で1,5%であり、広葉樹ではアカガシ亜属が28.5%、クリ属/シイノキ属が8.5%でやや高率である。草本類ではカヤツリグサ科が9%でやや産出し、次いでイネ科が3.5%である。胞子では三条型が22%で高く、単条型は4.5%程度である。

OB−2−15(深度13.50m)では針葉樹のマツ属、モミ属、ツガ属が14〜33%で産出が高く、広葉樹ではアカガシ亜属が12%、クリ属/シイノキ属が2.5%産し、ブナ属、コナラ亜属、ニレ属/ケヤキ属などがわずかな産出である。草本類はイネ科が1%以下で産するほかには目立った産出がない。胞子は単条型、三条型ともに5%以下の産出に留まっている。

OB−2−16(深度13.70m)〜OB−2−23(深度15.00m)は花粉、胞子の産出がなかった。