(1)B−1コア試料の花粉分析

分析試料:ボーリング試料は一般に砂礫層からなり、厚さ70cm〜1.7mの泥層が3枚挟まる。花粉分析用試料は、表土および埋土の下位(表面から1.9m以下)にある暗青灰色の礫混じり粘土層(厚さ1.2m)から6試料、20cmの砂礫層を経て、さらに下位の礫混じり粘土層(厚さ70cm)から4試料、さらに4.5mの砂礫層の下位にある厚さ1.7mの礫混じりシルト層から7試料、その下位の砂礫層中に挟まるシルト薄層および細粒砂層から4試料を採取した。

観察と計数:全体的に花粉の産出状況は良好ではないが、最上位の6試料のうち4試料はやや産出良好であった。それより下位については、産出状況は良くなく、特に最下位層準の6試料については砂質であることからか、花粉の産出はなかった。この結果、OB−1試料については7試料について考察した。

結果:産出する花粉の種類は層準によって明瞭な特徴がある。図3−8−3−2に花粉ダイアグラムを示すとともに、以下に各試料の分析結果と特徴を略記する。

OB−1−1(深度0.85m)からOB−1−2は考察できるほどの花粉粒数が得られなかった。ただし、胞子については三条型の産出が単条型より多い傾向が認められる。

OB−1−3(深度1.18m)〜OB−1−6(深度1.80m)では、針葉樹のマツ属、モミ属、ツガ属が数〜10%産出し、広葉樹ではクリ属/シイノキ属、コナラ属アカガシ亜属(以後、アカガシ亜属と記す)が数%から時に30%と高率に産する。草本類ではイネ科が10〜30%で顕著な産出を示し、カヤツリグサ科やヨモギ属が数%産出する。胞子では単条型、三条型ともに10%程度の産出である。

OB−1−7(深度2.15m)〜OB−1−8(深度2.30m)では、考察に足るだけの花粉粒数が得られなかった。ただし、特にOB−1−8では単条型の胞子が高率に産出するという特徴が認められる。

OB−1−9(深度2.55m)では、針葉樹はほとんど産出せず、広葉樹ではクリ属/シイノキ属が10%程度産出し、アカガシ亜属がこれに次いで6%程度産出する。草本類ではイネ科が約5%、ヨモギ属が9%でやや産する。胞子では単条型が34%、三条型が24%と高率に産する。

OB−1−10(深度2.75m)は花粉、胞子の産出が認められなかった。

OB−1−11(深度7.50m)〜OB−1−13(深度8.00m)も花粉、胞子の産出

図3−8−3−1 花粉ダイヤグラム総括表

図3−8−3−2 ボーリングB−1花粉ダイヤグラム

が認められなかった。

OB−1−14(深度8.30m)〜OB−1−16(深度8.70m)では、針葉樹のマツ属、モミ属、ツガ属がそれぞれ数%産出し、また、トウヒ属も1〜2%産し、スギ属も極めて低率ながら認められる。広葉樹ではクリ属/シイノキ属やアカガシ亜属、ニレ属/ケヤキ属が低率に産する。この層準ではハンノキ属が55%を超え、極めて高率な産出を示して特徴がある。草本類ではイネ科、ヨモギ属、ヨモギ属以外のキク科(以後単にキク科と記す)などが認められるがいずれも低率である。胞子では単条型、三条型ともに数%程度の産出である。

OB−1−17(深度8.85m)〜OB−1−22(深度10.20m)は花粉、胞子ともに産出しなかった。