3−8−2 試料の採取と調整

本調査に用いる花粉分析用試料には、岡小路の試料であることを示すために、ボーリング番号の前に「O」を付し、例えばOB−1−1などと表示する。

@試料採取

ボーリングコアの泥質部をほぼ15〜20cm間隔で、それぞれ長さ3〜5cm程度をナイフで切り取り、直ちにビニール袋に封入した。なお、採取にあたっては、泥質部に挟まれる砂質なところは避け、できるだけ花粉を含むと考えられる部分を選んだ。

A試料調整

研究室に持ち込んだ試料は、ビニール袋から取り出した後、洗浄したナイフを用いて表面部を削り落とし、ボーリング時の擾乱などのない新鮮な部分から、約10gを削り取って分析試料に供した。

B分析処理とプレパラート作成

コア試料が一般に泥質〜極細粒砂質であることから、HF−KOH−アセトリシス法を採用し、塩化亜鉛による重液分離を行って、花粉・胞子粒を集め、グリセリンゼリーで封入した。

C顕微鏡観察と計数

花粉および胞子化石の鑑定には、生物顕微鏡(高解像リアルタイム3D顕微鏡R400)を使用し、600倍で観察した。花粉および胞子化石の顕微鏡写真を示す。

計数にあたっては、通常、樹木花粉が300個に達するまでカウントするが、本地域の試料からの花粉産出数は一般に少なかったことから、花粉および胞子粒総数合わせて200個程度の計数を目標にした。なお、花粉および胞子粒総数が100個に達しないものは、産出割合に著しい偏りが生じる可能性があることから考察には含めず、参考のために花粉ダイアグラムに表示するに留めた。