3−10−7 火山灰の同定

PC−1孔の最下層(W層)より採取された試料について、火山灰の起源を同定し、年代を決定した。同定には火山ガラスの屈折率測定を行い、温度変化型屈折率測定法を用いて実施した。

測定結果を表3−10−7−1に示す。

表3−10−7−1 火山灰測定結果

本試料を分析処理するに際し、ガラスの洗浄段階で試料の砂質土中に、上位の地層と考えられる腐食土(V層)が混在していることが判明した。そこで火山ガラスの屈折率測定の際には、砂質部と腐食土から洗い出されたガラスを、それぞれ別個に測定した。

結果としては、砂質部と腐食土の測定結果からは、ともに2つのピークが見いだされ、ガラスの形態についても2種類のものが混在していた(図3−10−7−1)。したがって砂質部中に、既に腐植土分が混在していた可能性が高いと考えられる。

屈折率のピークを見ると、2つのピークのうち、より顕著なものは砂質部・腐植土でそれぞれ異なっていることが分かる。そこで、砂質部に含まれていた火山ガラスの屈折率をn=1.501付近、腐植土ではn=1.511付近と仮定すると、砂質部に含まれる火山灰は屈折率・形態から姶良Tn火山灰であると考えられる。また、腐植土については桜島系の火山灰であると推定される。(写真3−10−7−1)に火山ガラスの鏡下写真を示す。

今回の分析で、W層の砂質部中の火山灰を姶良Tn火山灰と同定することには問題も残されるが、14C年代測定結果との間に、特に矛盾は生じていない。

(V層下部の14C年代は約16,000yBP、下位のW層の火山灰は22,000〜25,000yBP)

図3−10−7−1 屈折率頻度分布グラフ 

写真3−10−7−1) 火山ガラス鏡下写真