(1)地形区分

娑婆神峠北側の谷筋や平地には、標高100m以下の緩斜面や平坦面が広く発達しているのが認められる。

これらの地形面について、次のように区分した。

図2−2−1

A面:

娑婆神峠の北側では、主要河川の両岸に広がる、EL.5〜15mの平坦面を主体とし、小熊野川や浜戸川に沿った細長い谷底平野を形成している。ほとんど水田として利用されており、一部に宅地が認められる。

Af−1面:

娑婆神峠北側の沢は、小規模なものがほとんどであるために、扇状地面は発達が悪く、むしろ崖錐に近い崩壊堆積物によって形成された地形が多いようである。ここでは扇状地面・崖錐面を一括して捉え、新旧の区別は行っていない。

L3面:

河川沿いの沖積面より少し高い平坦面で、浜戸川に沿った地域に広く認められ、また木山川の南側にもやや広い分布がある。

浜戸川沿いではEL.30〜40m程度を有するが、木山川の南ではEL.10〜15m程度と低くなっている。

主に水田として利用されているところが多いものの、木山川の南では宅地や畑として利用されている。

L2面:

娑婆神峠から陣内までの小熊野川や浜戸川に沿って断続的に広がる平坦面で、娑婆神峠北方ではEL.70m前後の標高を有するものの、北方に向かって次第に低くなり、御船川と木山川に狭まれた地域では、EL.20m前後の標高である。

宅地や畑として利用されていることろが多いものの、安見付近では耕地整理が進み、水田として利用されているところも認められる。

L1面:

山裾部や台地の周辺に、比較的細長く分断されて分布する平坦面〜緩斜面で、娑婆神峠の北側ではEL.90m前後の標高を有するものの、北方に向かって次第に低くなり、緑川や御船川沿いの台地縁辺部ではEL.25〜30m程度である。

古くからの宅地として利用されているところが多い。

M面:

緑川、御船川、木山川などの河川に狭まれた台地に広く認められる平坦面で、写真判読により最も目立つ平坦面である。

EL.30〜55m程度の標高を示す台地面を形成している場合が多いが、所によっては細く突き出したやせ尾根の尾根筋や、山麓に細長く残る平坦面として認められる場合もある。

広い畑として利用されているところが多いが、次第に工業団地や宅地としての開発が進みつつある。

Aso−4f2面:

Aso−4火砕流がつくる平坦面〜緩斜面で、EL.50〜80m程度の標高を示す。

甲佐町津志田の緑川左岸から、錦郷川に囲まれた台地上に広く平坦面が認められるほか、娑婆神峠の北からその北方の豊野村安見付近にかけては、分断された緩斜面として認められる。平坦面は写真判読により容易に確認される。

緩やかな起伏を持つ緩斜面で、畑や宅地として利用されている部分が多い。

Aso−4f1面:

当該地域で最も高い位置に認められる緩斜面で、EL.70〜100m程度の標高を示す。娑婆神峠の北側からその北方の豊野村安見付近に分布し、阿蘇火砕流台地の山側に沿った部分や、低い尾根の頂部などの狭い範囲に分断されて散在している。

平坦な面は認められず、いずれも緩やかな斜面となっている。