5 活断層調査のまとめ

仏像構造線は,地形的にはリニアメントが明瞭であるが,活断層であることを示す地形はきわめて乏しく,南国市稲生にみられる東西走向の崖だけである。これらの崖も人工的に作られたものである可能性が高い。稲生の開析谷においてリニアメントを横断して実施された電気探査,バイブロコアリング,ロータリー式ボーリングによる地質調査において次のようなことが明らかとなった。

基盤岩の落ち込み位置(断層の可能性がある)は,地形的に判読されたリニアメントの位置より北側にあり,70mから100m離れている。開析谷を埋める未固結堆積物のうち沖積層 や洪積層(上部更新統)の上面には断層による変位は見られず,堆積面はほぼ水平ないし,非常に緩い傾斜となっている。したがって仏像構造線は,活断層である可能性は低く,仮に活断層であってもその変位速度は非常に小さいと考えられる。

吉良川断層は,地質的には断層であることは明瞭であるが,段丘面や沖合海底の未固結堆積に変位が全く見られず,活断層の可能性は低いといえる。

行当岬断層は,断層活動の変位の基準となる段丘面の対比に問題があり,対比の仕方によっては全く高度差が認められない(つまり断層変位がない)。段丘堆積物が乏しく,堆積物による対比が困難であり,現在の地質学的手法では,どちらとも断定できない状態である。しかし活断層としての断層変位地形が全く見られないことから,従来の対比が間違っている可能性が高く,活断層の可能性は低いと考えられる。吉良川断層・行当岬断層については確実度V,活動度C以下とするのが妥当と考えられる。

盲道谷断層は今回の調査で活断層でないことが明らかとなった。