4−5 総合解析

吉良川断層

吉良川断層については,東の川上流の鞍馬谷治山工事現場において大規模な断層破砕帯確認され,地質学的には断層であることが明らかとなったが,活断層としての証拠は明瞭ではない。東の川下流の断層を挟む位置にある海成段丘については,M1段丘面に高度差は認められない。また沖合海上の音波探査結果においても未固結堆積物に変位は認められない。したがって吉良川断層については,活断層の可能性を完全に否定することはできないが,その可能性は低く,活断層であったとしてもその変位速度はきわめて小さいといえる。本報告書では,「日本の活断層」の評価で確実度Uを確実度V,活動度Cをこれ以下とするのが妥当と考えられる。

行当岬断層

行当岬断層については,活断層としての認定根拠となっている段丘面の高度差は,段丘対比の仕方によっては,全く変位(高度差)を考える必要がなくなる。段丘面の対比に関しては,段丘堆積物がきわめて乏しく,年代を示す証拠がなく,堆積物による対比が困難であるため,どちらが正しいともいえないのが現状である。しかし行当岬断層については断層変位地形が全く見られないことからみて従来の段丘対比が間違っている可能性が高く,活断層である可能性は低いと考えられる。沖合海上の音波探査については行当岬沖には礫層や基盤岩が分布しており,現在のところ活断層かどうかの判定のしようがない。本報告書では,「日本の活断層」の評価で確実度Uを確実度V,活動度BをC以下とするのが妥当と考えられる。

盲道谷断層

盲道谷断層については,今回の調査によりM1段丘礫層は変位していないことが明らかになり,活断層ではないことが判明した。