3−4 ロータリー式コアボーリング

バイブロコアリングで基盤岩の変位を把握できなかったため,電気探査測線北側の延長部で2本のロータリー式ボーリングによるオールコアリングを実施した。ボーリング実施位置は図3−3に示す。ボーリング調査結果は巻末に柱状図として示すとともに以下簡単に調査結果を述べる。

@ B−1孔(掘削長15m,孔口標高0.77m)

 0.00〜 0.95m シルト質粘土 淡褐色 盛土および旧耕作土 礫混じる。

 0.95〜 1.85m 礫混じり砂質粘土 暗灰 腐植物まじりで含水多く,砂分多い。径2〜20o礫混じる。

 1.85〜 8.80m 礫混じり砂 黒灰 全体に細粒分多く,シルト・粘土含む。所々径80〜100oの礫混じる。含水多い。

 8.80〜 13.00m 礫混じり砂質粘土 茶褐色 径5〜20oの風化礫含む砂質粘土。

 9.85m付近は径80o以上の硬い硬質礫含む。

 13.00〜 15.00m 強風化塩基性凝灰岩茶褐色 強風化し,所々砂状〜粘土状を示す。礫状に採取されるところも指圧で砕ける程度である。

A B−2孔(掘削長31m,孔口標高2.46m)

 0.00〜 1.30m 礫混じり粘土 暗茶 盛土および旧耕作土。

 1.30〜 4.20m 粘土質砂 暗灰 砂は粗粒砂主体。わずかに礫含む。38m付近火山灰挟む。4m付近木片含む。

 4.20〜 11.00m 礫混じり砂 暗青灰〜暗灰 砂は粗粒砂主体。径20〜60o礫含む。

 6.40〜6.65m   砂混じりシルト層挟む。

 11.00〜 12.00m 粘土質砂 暗灰 腐植物多く含む。

 11.0〜11.1m 木片挟む。

 11.9〜12.0m 腐植物多く含む。

 12.00〜 13.50m 砂 暗灰 均質な細砂。含水中位。

 13.50〜 30.25m 礫混じり粘土質砂 淡青灰〜暗青灰 砂は細砂〜中砂である。砂主体。全体に粘土質。径10〜30oの礫多く含む。    

 20.55〜 20.65m,21.3〜21.5m腐植物多く挟む。

 28〜29m付近 砂分多くよく締まっている。

 29.9m付近 木片含む。

 29.9m付近から茶褐色示す。

 30.25〜 31.00m 強風化塩基性凝灰岩 茶褐色 砂状〜粘土であるが原岩組織残す。        

地質学的な区分は,盛土や耕作土の下に海浜砂を主体とする堆積物が分布し,沖積層 (完新統)と考えられる。B−1孔で深度8.00〜13.00 m,B−2孔で深度10.50〜30.25mに秩父帯起源の珪長石質角礫からなるよく締まった礫層が分布する。この地層は明らかに沖積層とは異なり,洪積層(上部更新統)と考えられる。

B−1孔で深度13.00〜15.00m,B−2孔で深度30.25〜31.00mの強風化塩基性凝灰岩は,基盤岩である四万十層群の玄武岩質の凝灰である。

以上の結果に加え,バイブロコアリングのV−2,V−7孔の結果および建設省で実施されたボーリング調査結果(図中でbQボーリング)を用いて図3−8にE−1測線に沿う地質断面図を作成した。

図3−8からわかるように基盤岩の落ち込みの位置は空中写真判読結果から推定されたリニアメントの位置から約70m北側にあり,この結果は電気探査結果とも調和的である。しかしこの結果からでは,断層による落ち込みか,あるいは侵食によるものかは不明である。基盤岩の落ち込みの位置では地表面・沖積層上面は水平で変位は認められない。

沖積層/洪積層(上部更新統)境界の深度はV−2で5m,bQで7m,V−7で 7.5m,B−1で8m,B−2で10.5mである。この境界深度の水平距離に対する変化率はほぼ一定で平均斜度2°を示す。またこれらのボーリングコア間で,境界深度の不連続は認められない。さらに沖積層の対比においても特にコア間で不連続は認められない。