2−2−1 @地区 [須磨区東部〜長田区南西部] :仮屋沖断層−大倉山断層

@地区では, 平成8年度に実施した反射法地震探査 (P波)の結果,須磨断層よりやや南側,市街地地下に基盤の落差 500mに達する活断層が伏在していることが判明した。この層は, 基盤の傾動を伴い大阪層群をはじめとする被覆層に幅広い変形 (撓曲) を与えており,仮屋沖断層から大倉山断層に連続する一連の断層である可能性が高い。

この地区では,平成8年度に6本の調査ボーリングを実施しており,その結果ボーリング No.@−5と No.@−6の間に活断層による変形が延びている可能性が高いことがわかった。今年度は, 最近の活動性を定量的に求めるため, さらに2本 (No. @−7, No. @−8) のボーリング調査を実施した (図2−8) 。

調査の結果, 図2−9に示したように, アカホヤ火山灰層 (約6300年前の広域テフラ) 層準とAT火山灰 (約 24000年前の広域テフラ) が連続して追跡された。これに基づいて作成した地層断面 (図2−10)により, ボーリング No.@−7と No.@−6の間にはアカホヤ火山灰 (K−Ah:約6300年前の広域テフラ) 層準が上下方向に約2m,AT火山灰 (約 24000年前の広域テフラ) 層準が上下方向に約6m食い違っていることが明らかになった。

以上の結果,この断層は図2−11 に示したように基盤中ではみかけ上逆断層であり,大阪層群などの被覆層では断層変位は撓曲構造へと変化していること,変位は地表付近の沖積層にまで及んでおり,現在も活動的な断層であることがわかった。

図2−8 @地区 [須磨区東部〜長田区南西部] 調査位置図

図2−9 @地区ボーリング調査結果

図2−10 @地区推定断面図

図2−11  @地区 [須磨区東部〜長田区南西部] P波探査の断面における伏在活断層の形状 (b)と地表付近の推定地層断面図 (a)

図2−12  @地区付近の地質平面図と伏在活断層位置