4 総括(まとめと今後の調査方針)

平成8年度,神戸市では,淡路−六甲活断層系の全貌を把握するために必要な深部地下構造調査と,市街地に伏在する活断層の第四紀後期以降の活動性を把握するための浅層地下構造調査を実施した。また,1995年兵庫県南部地震のさい活動しなかったとされる既知の活断層 (須磨断層, 諏訪山断層, 五助橋断層, 〔仮称〕岡本断層など) の最新活動時期や再来周期を明らかにするための調査 (トレンチ調査など)に適した場所を探るため現地調査もあわせて実施した。

平成8年度の神戸市地域活断層調査の結果, 当初の推定どおり須磨区〜長田区の地下に伏在活断層が確認され, 仮屋沖断層と大倉山断層が大局的には連続する可能性は高いことが判明した。また, 伏在活断層 (大倉山断層, 和田岬断層) を対象として実施した浅層地下構造調査の結果, これら伏在活断層が第四紀後期にも活動していることが明らかにされ,今後も活動する可能性の高い活断層であることもわかった。また, 既知の活 断層のうち,五助橋断層と〔仮称〕岡本断層で, 沖積層を変位させている証拠が数カ所でみつかった。また,神戸大学の調査では, 住吉山手9丁目の砂防ダムサイトで五助橋断層が,新期堆積物を変位させている様子が観察され,地層の年代測定結果から, 1596年慶長地震のさい活動した可能性があると指摘されている。しかし,その他の地域では現在のところ断層の大部分はかくれており, 活動時期を特定できる資料は得られていない。以上,平成8年度の調査成果がまとまってきた現在,残された問題点と今後の見通しを踏まえ,以下に平成9年度の調査計画を作成した。