3−1−6 須磨断層・高取山断層・横尾山断層

高取山・横尾山山塊を囲んで,南側に須磨断層が,北側に高取山断層が,西側に横尾山断層が,それぞれ存在する。

須磨断層は,全体に扇状地性の段丘堆積物や崩壊層で覆われ露頭が確認しにくいが,西須磨では花崗岩が約70゜の傾斜で大阪層群上に衝上している様子が観察された。

横尾山断層は,本地域南端に近い国立神戸療養所の正門前の崖では,神戸層群が直立 ないしは逆転し,その上に六甲花崗岩が, 約40゜の傾斜で衝上しているところが見られた。しかし断層から数10m離れると,神戸層群は水平に近い状態に戻る。断層沿いの花崗岩の破砕は著しく,その典型的な状態は多井畑トンネル西入口付近に見られる。この山塊は全般的に節理面や劈開面の発達が著しく,断層運動の影響が全山塊に及んでいることを示している。

新長田から落合池に至る神戸市営高速鉄道西神線敷設のため,高取山地を貫く第2横尾トンネルが掘削され,その北側の出口に妙法寺駅が建設された。この駅は高取山断層上に設置せざるを得なかったため,工事の際に本断層の断面がよく観察された(写真3−7)。花崗岩類は, 200 m余にわたって急斜する神戸層群を覆い,低角のスラストであるが, その根元のところでは急激に高角度になる様子がみられた(図3−9)。

写真3−7 急斜する神戸層群の上に六甲花崗岩が衝上する横尾山断層

(神戸市須磨区横尾,啓明学院北方)

図3−9 妙法寺駅における高取山断層(第2横尾トンネル北出口が見える)