(4)W層

W層は、V層に不整合に覆われる角礫層である。礫の最大径は、50cm程度に達する。本層は非常に風化が進んでおり、緑〜青〜褐色を呈し、礫がクサリ礫化している部分がある。このような層相から、W層はAso−4の噴出・堆積以前に形成された古期段丘面(高津,1996)の構成礫層に相当すると考えられる。本トレンチは、L面を刻む谷壁に沿って掘削されているが、L面の構成層は露出していないと考えられる。

S面においては、W層は1.3〜0.4mの深度に現れているが、北方へ高度を減じてN面では1.8m程度以下のトレンチ床付近に見られる。これは、S面はV層堆積時の谷壁斜面に、N面は谷底中央付近に位置するためであると考えられる。

W層には、礫を主体とする部分と、礫の含有率が少なく粘土〜シルトから成る部分がある。このため、W層の構造の概要を知ることができる。S面の西部(S4−S12)ではW層は西から東へ緩く傾斜しているが、東部(S0−S3)では、ほぼ水平に堆積しているように見える(図6−2−2d)。W層は、V層だけでなくU層にも不整合に覆われるが、その不整合面の高度に20〜30cm程度の不連続が見られる部分がある(S4.2/0.8)。この構造は、そのすぐ東のUd層の変形と調和的である。