(2)U層

本層は有機質シルト層であり、砂・礫も混入している。U層は、V層を整合的に覆うほか、後述のW層を不整合に覆う部分がある(S3−S5)。層厚は数10cm〜1mであるが、ほぼ全層準に、多数の木片あるいは炭化木片が含まれている。層相等の違いに基づいて、Ua〜Ud層に細分した。

E面南部とS面においては、深度0.6〜1mの位置に、周囲より濃い黒色を呈し有機物の含有量が多い層準がある(E5〜E7、S0〜S4)。これをUb層、それより上位の部分をUa層とした。S面のUa層中にはほぼ水平に堆積している砂・礫も見られるが、Ub層直上には角礫が堆積構造を示さずに乱雑に点在しており、最大礫径は40cmに達する(S3.5−3.8/0.7−0.8)。E面においては、U層中にはほとんど礫は混入していないが、Ub層の直上に角礫が集中する傾向がある。E面の角礫はS面より明らかに粒径が小さく、またE5付近までは追跡できるが、より北方には認められない。E面北部〜N面においては、Ub層は認識できなかったので、Ua−c層として表記した。

Ub層の下位にも腐植質シルト層があるが、その最下部はUb層と同様に有機物の含有量が多く濃い黒色を呈する。これをUd層とする。Ub層とUd層との間の部分はUc層とした。前述のUb層直下のUc層中には、周囲より濃い黒色を呈する部分があり、そこでは折り畳まれたような構造がみられる(S4/0.8;図6−2−1a)。

Ud層は、S面西部(S3.2−S12)を除き、壁面全域で観察できる。なお、Ud層の上面は非常に不規則に波打ち、地割れ上の構造や上方に向かって火炎状に吹き上がるような構造が見られる(N0.5−N13/1.3−1.4,E1−E7/1.3−1.5など;図6−2−1b)。また、Ud層と後述のV層の境界面も水平ではなく、Ud層の構造と調和的に変形している部分もある(N8.5−N11/1.5,E4.5−6/1.4−1.5など;図6−2−2c)。