3−5−2 志井地区

北九州市小倉南区志井周辺には、Aso−4に覆われるH面が発達し、現在の河川沿いには沖積段丘面が分布している(図3−2)。沖積面には比高1m程度の段丘崖が認められ、一部では段丘化している。トレンチ地点は、沖積段丘面上に位置する(図3−2)。

本地点では、比高約1mの崖(西上がり)がNNE−SSW方向に直線的に連続している。この崖は、北方および南方のH面の低断層崖にほぼ連続するため、小倉東断層が形成した低断層崖である可能性がある。ただし、崖と並走して志井川が北流しており、崖線には波長数十m程度の出入りがある。このため、低断層崖が河蝕によって後退している可能性が高いと考え、後述するように、崖から十m程度志井川寄りを中心としてボーリング3本を掘削した。その結果、予想した位置付近に数m程度の基盤高度の落差を確認できたので、そこをトレンチ地点に選定した(図3−22)。周囲は水田地帯であるが、幸にも候補地点は資材置き場であったため、掘削が可能となった。ここでも、断層を覆う新期の堆積物が分布することは確実なので、最新のevent時期を決定できると判断した。