2−7−1 トレンチ周辺の地形・地質

No.3地点は太田和緑地の東方約800m付近、小田和川支流の中〜上流域にあたり、東西方向から北東方向へ延びる支沢の谷底平野に位置する。

本地点の右岸側は、標高100m前後の山頂平坦面がみられる丘陵地となり, 左岸側には標高30〜50mの丘陵地が分布し、右岸側に比べなだらかで、開析が進んだ地形を示している。この右岸側と左岸側の地形の違いは明瞭で、その境界は西北西−東南東方向に連続し、概ね北武断層の方向と一致している。なお、右岸側の丘陵南端では、尾根線が北北東−南南西方向から東西方向へ向きが変化しており、この変曲点を北武断層位置とし、その曲りが断層の右ずれ変位を示すものとされている(太田ほか、1982)。

谷部の地形は、現在右岸側は盛土により市道が整備され、左岸側は宅地化しているため、その詳細を確認することはできない。図7−1−1に調査地点周辺の断層変位地形図を示す。 

調査地付近の地質は、主に逗子層が分布し、北武断層に沿った狭小な範囲に逗子層に挟まれて衣笠泥岩オリストストローム層が分布する。両者の関係は断層関係と推定されるが、露頭状況が悪くその詳細は不明である。それらの上位に、低地部には河成堆積物、丘陵地裾部には崖錐性堆積物が、右岸側には道路土工による盛土が分布する。これらの堆積物や盛土は泥岩礫、砂、粘性土などを主とした未固結堆積物である。

図7−1−1調査地点周辺の断層変位地形図(No.3地点)*縮尺1:5000