2−6−2 調査ボーリング

調査ボーリングは、トレンチ調査の実施の可否を検討するために4箇所で実施した(図6−1−2)。

ボーリング調査結果の詳細は、巻末のボーリング柱状図(縮尺1:50、1:10)に示す。

調査の結果確認された地質は、衣笠泥質オリストストローム(Km)ならびに逗子層(Zm)と、その上位に河成堆積物(ac)、崖錐性堆積物(dt)である。河成堆積物は、丘陵裾部の崖錐性堆積物の下位と低地に認められた。崖錐性堆積物は広く河成堆積物を覆って分布するものと考えられる。

ボーリング結果から地質構造を検討し地質断面図を作成した(図6−2−1)。

表6−2−1 ボーリング調査結果総括表(No.2地点)

図6−2−1 A−A’地質断面図 

地層年代測定試料は、丘陵裾部の河成堆積物(B2−3、ac1) から得られたのみで、他からは得られなかった。得られた試料は、層厚約1mのほぼ均質な黒色有機質粘土(黒泥)で,14C年代値の測定の結果は、上部で1,950±150yBP、下部で2,910±180yBP が得られた(表6−2−2)。しかし、黒泥の分布はきわめて局所的であり、他の鍵層も得られないため、近接して実施したボーリング孔との地層の年代の対比ができなかった。

黒泥の堆積環境を知るため微化石分析を実施した(表6−2−3)。分析の結果、わずかに海綿の骨針が認められるだけで珪藻など他の微化石はみられず、微化石から地層の堆積環境の考察はできなかった。本層は、その層相が礫の混入がまれなほぼ均一な有機質粘土であることから、局所的に停滞した沼地状の堆積環境であった可能性がある。本層の上位に砂礫層主体の崖錐性堆積物が分布すること、付近には標高約40mの河成段丘が形成され、本層もその構成層である可能性があることから河成堆積物として表示したが、その詳細は不明である。なお、海綿の骨針は本地域の丘陵を構成する逗子層からの再堆積の可能性もある。

表6−2−2 14C年代測定結果一覧表(No.2地点)

表6−2−3 B2−3ボーリングコアの微化石総合分析結果一覧表