(2)14C年代測定

トレンチ法面に分布する河成堆積物およびボーリングコアを試料として、14C年代測定をおこなった。測定結果を表5−5−5および図5−5−2−1に示す。測定機関はオーストラリア国立大学(ANU)に依頼した。測定方法はβ線計数法および加速器質量分析法(AMS法)でおこなった。なお、年代値の算出には14Cの半減期としてLibbyの半減期5568年を採用し、年代誤差は放射壊変の統計誤差(1σ)でこの誤差範囲に含まれ、確率は70%である。また、年代値は西暦1950年からの年数(yBP)である。試料の採取位置は付図5−1および図5−2−2に示した。

表5−5−5 14C年代測定結果一覧表(No.1地点)

14C年代測定で得られた年代値は、図5−5−2−1に示すように地層の層序とほぼ矛盾ない測定結果が得られている。しかし、測定された14C年代値には層序とあわないものや明らかに現生と判断されたものもある。一般に地層の堆積年代と試料の年代値が一致することが望ましいが、実際は年代値にバラツキが認められ、層序に合わない予想外の年代値が報告されることが多い。その原因は、次の通りである。

・試料の再堆積による地層の堆積年代と試料の年代の不一致

・現生の植物根や地下水の浸透などの影響による測定誤差

今回、年代測定に供した試料は有機質土および木片・木(幹)などであり、層序と合わない年代値や明らかに試料の再堆積による年代の不一致と判断された試料を個別に検討し、その結果を表5−5−6に示す。

表5−5−6 14C年代値の検討結果

なお、表5−5−6に示した試料以外の年代値をそれが含まれる地層の層相と検討した結果、次のようなことがわかった。

・@、A層など層相がシルトなどの細粒分からなる地層は、層相一定の地層で年代値と地層の堆積年代はほぼ一致する。

・C、DおよびE層など礫層の場合は、試料の再堆積による影響で年代値のバラツキの程度に差が大きい。

表5−5−6に掲載されていない14C年代値は層序と合致し、測定誤差も小さく、地層の堆積年代と考えられる。

・DおよびE層は年代値が2000〜1700yBPとほぼ同一で、両層は同時異相の堆積物と考えられる。

以上のような検討結果から、河成堆積物の14C年代値をまとめ、結果を表5−5−7に示す。

表5−5−7 河成堆積物14C年代値

図5−5−1−4 河成堆積物の14C年代値(No.1地点)

表5−5−8 B1−1ボ−リングコアの微化石総合分析結果一覧表