2−5−3 電気探査結果

電気探査は、地表下浅部の比抵抗構造を求めることにより、被覆層や基盤岩の断層による変位状況を解析して、トレンチ掘削地点の検討に資することを目的に、比抵抗2次元探査法を適用した。

調査は、測線長140m、測点間隔2.5m、探査深度30mとし、ウェンナ−法とエルトラン法を組み合わせたデ−タを取得して、2次元インバ−ジョンによる比抵抗解析を行った。解析結果を図5−3−1に示す。

比抵抗値は、5〜27Ω−mの範囲に分布する。分布の傾向は、大局的に7Ω−mを境に、2層構造に分帯される。下位の比抵抗層は、5〜7Ω−mの範囲でほぼ一様な値を示し、深度7〜13m以下に分布する。上位の比抵抗層は、7〜27Ω−m と下位層に比べ高い比抵抗を示す。層内の比抵抗は、水平および垂直方向に変化し、水平方向に認められる距離50〜60m付近の凸部と40m付近の凹部が特徴的である。この特徴は地表地形の尾根筋と沢筋に対して調和的であり、基盤岩の形状と被覆層の層厚の関係を示すものと考えられる。

凸部の形状は、幅の広い尾根裾の割にはとがった部分があり、比抵抗異常部として抽出される。断層に付随した構造のように見受けられ、衝上しているような形状を示す。基盤岩相当部の比抵抗層の内部には、断層付近に想定される葉山層群泥岩と三浦層群逗子層の境界を示唆する変化は認められず、被覆層から基盤までを含めた断層位置や断層面の傾斜を特定するまでには至らない。

以上の比抵抗分布構造から、距離50〜60m付近の被覆層の凸部構造が断層活動に起因している可能性があり、トレンチ掘削地点の検討資料に供した。

図5−3−1 比抵抗2次元解析断面図(No.1地点)