(5)地震の規模(M:マグニチュード)

過去、地震によって地表に出現した断層の長さ(L)と地震の規模(M:マグニチュード)との関係について示された関係式(松田、1975)を用いて地震の規模を試算する。

確実度Tの北武断層の長さ(8.5km)からはマグニチュード6.4、さらに、北武断層西部(2.7km)および東京湾への延長(L=4km)をそれぞれ考慮して試算するとマグニチュード6.8と試算される。

No.1地点での横ずれ変位量0.6m以上で、これから求めたマグニチュードは、M=6.3以上となる。しかし、本地点は断層収束域に近い西端部での値を用いての試算結果であり、変位地形の明瞭な東部域では、これより大きい規模の地震の可能性が考えられる。

なお、これらの式は、1891年以降日本で発生した地震断層のデータや地震観測又は測地データをもとに、統計的に処理されたものであり、利用にあたってはバラツキの大きい値であることを考慮し、一応の「目安」として用いる必要がある。

また、地表で追跡できる活断層(地表活断層)の長さは、震源断層の長さと等しいか、あるいはそれより短いとするのが一般的である。したがって、防災的見知から安全側にたって、北武断層帯の1回の活動による最大地震規模はマグニチュード7程度を想定するのが妥当と考えられる。