9−4 地震調査研究推進本部地震調査委員会の再検討

地震調査委員会(H9.8.6)は神縄・国府津−松田断層帯の調査成果として「この断層帯では、現在を含む今後数百年以内に、変位量10m程度、マグニチュード8程度の規模の地震が発生する可能性がある。震源域は断層全体とその海域延長部に及ぶと考えられる。(注)ここでマグニチュード8程度とは8±0.5のことである。」と報告されている。その根拠は、国府津−松田断層のトレンチ調査から約3000年前以降に不確実なものを含めて5つのイベントを記載したが、足柄平野の沈水現象の時期や鴨宮段丘の形成などを重視して、国府津−松田断層の最新活動を約3000年前、平均活動間隔を3000年としたためである(水野・山崎,1997)。

しかし、本調査によって断層自体の断層露頭がはじめて確認された。これによって最新活動時期、平均間隔、単位変位量は大きく改められた。最新活動時期は650〜900年前(AD1100年〜AD1350年)、平均間隔は約1000〜1100年、単位変位量は3.0〜3.3mとなった。これらの値は従来の値よりはるかに精度の高いものである。平均間隔と最新活動時期の値はほぼ満期に達しており、国府津−松田断層は今後数百年以内に活動する可能性が高い。これまで10mとされていた単位変位量は3.0〜3.3mとなり、地震規模はマグニチュード7.5と修正される(表9−1)。

本調査で評価した神縄・国府津−松田断層帯の評価区間を図9−1に、調査結果一覧を表9−2に示す。