3−1−5 活断層図の解説

国府津−松田断層に沿う断層地形は約10kmにわたって認められた。米軍空中写真を用いたことにより、小田原市田島、大井町上大井などの山麓線から少し前面の位置に、これまで報告のなかった低断層崖が発見された。新幹線弁天山トンネル出口付近では崖錐と地すべりを変位させ、田島では山麓線より前面に高まりを作り、NNW−SSE方向に連続する。田島では水野ほか(1996)がボーリング調査などを行い、ATを変位させる断層を推定している。今回はここを田島地点と呼び、水野ほか(1996)のさらに平野側でボーリング調査を行った。国府津−松田断層は小田原市曽我別所でNNW−SSE方向の断層とENE−WSW方向の断層とに分岐する。谷津A、B地点はNNW−SSE方向の断層に位置し、今回はピット調査、ボーリング調査を行った。谷津A地点では地すべり地形が撓曲し、谷津B地点では直線的な低断層崖が崖錐を変位させている。一方、曽我原地点はENE−WSW方向の断層に位置する。曽我原地点の背後のLT、LU段丘が撓曲し、高まりを作っている。2条に分岐した断層は小田原市上曽我付近で収斂し、山麓線にそってNNWへ連続する。山麓線の断層崖は天井川や崖錐に覆われるが、上大井駅東側では沖積錐を低断層崖が変位させている。上大井駅北側ではENE−WSW方向の低断層崖が平野内に認められた。上大井駅から東名大井松田インターにかけては大井町相互台の台地の山麓に低断層崖が断続する。相互台の上には山田地溝(太田ほか,1982)と呼ばれる東低下と西低下の断層崖があり相互台のM段丘を変位させている。