4−2−1 補足資料−トレンチ調査候補地点G’付近における予備トレンチ調査結果

委員会によるトレンチ調査候補地点選定のための現地調査において、G’付近で神奈川県の農道整備事業が行われていることが明らかとなり、予備トレンチ調査を行うこととなった。予備トレンチの位置を図−補2(付図2)に示す。

G及びG’地点を通るリニアメントは、比高約2mの崖とその前後の撓みからなり、北北西−南南東方向に連続する。リニアメントは扇状地や崖錐の上に明瞭に連続してみられ、断層による変位と考えられる。

予備トレンチは完新世と予想される崖錐地形の上にあり、これを変形させる撓み斜面の基部で掘削した。予備トレンチの掘削規模は、長さ6m、幅0.6m、深さ1.5m〜2mである。

予備トレンチの写真を写真−補1(写真4−1)に、予備トレンチ壁面のスケッチを図−補1(付図1)に示す。

上位から順に現在のアスファルト、層厚約30cm〜40cmの盛土、層厚約10cm〜20cmの礫混じり腐植質シルト層がみられる。この礫混じり腐植質シルト層は、付近の住民の聞き取りから、昭和30年代の表土であることが確認された。さらにその下位には、腐植質な暗褐色礫混じりシルト質砂層と礫層・砂質シルト層がみられる。最下位層の礫層(泥岩、砂岩起源のものを主体とする)・砂質シルト層は崖錐地形の構成層の一部と考えられる。この礫層・砂質シルト層は現在の農道の傾斜と比較して、やや急な西傾斜を示し、撓曲構造の一部である可能性もある。また、この上位の腐植質砂層は約15°で西傾斜し、斜面下方に向かって層厚が厚くなる。この構造は礫層・砂質シルト層が断層活動により傾斜し、礫混じりシルト質砂層がアバットしている可能性もある。しかし、礫混じりシルト質砂層のすぐ上が昭和30年代の表土であることから、人工改変の可能性もあり断定はできない。さらに下位の地質構造を確認する必要がある。