2−1−4 神縄断層

神縄断層に関しては、東西方向の逆断層(神縄衝上断層)とそれを切る横ずれ断層(中津川断層系、塩沢断層系)との複合断層系であることが指摘されている(佐藤,1976;星野・長谷,1977;狩野ほか,1979;上杉ほか,1981)。

神縄衝上断層は、EW走向の高角逆断層で、狩野ほか(1984;1988)、Ito et al.(1987)は、同断層は100〜50万年前に活動し、その後は活動を終了したと考えている。

中津川断層系は、神縄衝上断層を右横ずれ変位させているNW−SE走向の断層系で、上杉ほか(1981)、Ito et al.(1989)は、同断層は32〜50万年前の間に活動し、現在は活動を停止した断層であるとしている。

塩沢断層系は、神縄衝上断層を左横ずれ変位させているNE−SW走向の断層群で、町田ほか(1975)のKs断層を含む。町田ほか(1975)は、駿河小山付近の地質調査から、本断層はほぼ垂直で、Pm−1を挟む駿河礫層を90m以上変位させているとしている。狩野ほか(1988)は、塩沢断層系のうち、東側隆起成分をもつものに関しては、新期ローム層基底にほとんど変位がみられないことから、同断層の活動は約7万年前には終了していたと考えている。