6−1 概要

三浦半島にはWNW−ESE走向の活断層群が発達する。これらは北から衣笠断層、北武断層、武山断層、南下浦断層、引橋断層であり、いずれの断層も第四紀の活動は右横ずれを主体とする。これらを三浦半島断層群と呼ぶ。また、このほかに東京湾には金田湾断層があり、同様の走向で右横ずれ断層と考えられている(今泉ほか,1987)。

北側の衣笠断層、北武断層、武山断層は大楠山を中心とする丘陵周辺にWNW−ESE走向で近接して並走する。太田(1999)によるとこれら3断層は互いに平行し距離も近いので、1つの断層帯として扱われるべきとされている。さらに、この3断層の活動はプレート境界である相模トラフ、あるいは国府津・松田断層の活動と連動している可能性が指摘されている(杉村,1974)。一方、三浦半島北断層群の南には、宮田台地を挟んで、南下浦断層と引橋断層が分布する。

北側の3つの断層と南側の2つの断層は、分布位置が異なるだけでなく、後述するように活動度などにも違いが認められる。このため、総合解析では、前者を三浦半島北断層群、後者を三浦半島南断層群と呼ぶ。以下では、三浦半島に発達するこれらの活断層群の相互関係を明らかにし、活動間隔と最終活動時期から将来における活動予測を行うよう努めた。