5−3−1 E2層の分布を用いた単位変位量の推定

E2層が経験した断層活動が1回と仮定した場合、E2層は地すべりブロックであり、その分布は、地すべりが生じた時期の谷幅の中に限定される。このため、この地すべりブロックの分布範囲を上盤および下盤で限定することができれば、横ずれ量をある程度明らかにすることが可能である。

E2層は地すべりブロックであり、初声層および宮田層が形成する谷壁を越えて分布することはない。このことから、上盤側のE2層が侵食によって削除されたとしても、現在埋没している初声層の谷壁位置が推定できれば、変位量はその谷壁と下盤側谷壁(E2層の分布限界)の差をもって、変位量の最大値として評価できる。

トレンチの西側法面で実施した断層追跡溝および水平ボーリングから、標高19m付近における下盤側のE2層の西側分布限界(図5−2図5−3の@)と上盤側の埋没した初声層の谷壁位置(図5−2図5−3の@’)を推定した。その結果、断層を境してのE2層の分布は、水平(断層走向)方向の食い違いが2m程度あることが明らかとなった。この食い違い量は、上下変位がなく、活動回数が1回と仮定した場合、単位変位量の近似値として扱える。