3−5−2 地盤災害への留意

南下浦断層の活動から想定される地盤災害は,その地形的な環境を考慮すれば,斜面崩壊や地すべりなどの斜面災害である。特に断層沿いの急傾斜地や斜面上の切土および盛土部では注意が必要である。地震動による斜面の不安定化が地震後しばらくしてから,降雨等が誘因となり,斜面災害を引き起こす場合もある。したがって,地震後においても,斜面災害に留意する必要がある。菊名トレンチを行った谷底低地では,断層活動との関連は明らかでないが,時代の異なる2層の地すべり土塊が確認されている。

中小河川沿いには沖積層および未固結の谷底堆積物が,東海岸周辺には海浜堆積物が,西海岸周辺には埋立地が広範囲に分布する。したがって,断層沿いに限らず,軟弱地盤の分布域においては地震時の液状化に留意する必要がある。